2023年1月28日(土)

VALUE MAKER

2020年1月11日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

 

 大きく「丸」に「地」のマークを付けた「しまんと地栗」は大ヒット商品になった。それまで栗の名産地向けに出荷されていた「栗」をブランド化し、「しまんと地栗モンブラン」や「ジグリキントン」、「しまんと地栗まん」といった商品に加工したのである。

 加える砂糖を抑えた「ジグリキントン」は、東京のデパートで人気商品となり、通信販売でも売れに売れた。丸地マークを付けることで、自然が豊富な四万十の「地」のものであることを強烈にアピールしたのだ。「しまんと地栗」をブランド化することで、栗に付加価値を付けて売るだけでなく、四万十自体を売り込むことに成功した。

「ないものはない」

 各地の振興計画などにも梅原さんはひっぱりだこだ。

 「あきたびじょん」という秋田県が作った総合計画も梅原氏がアドバイスした。秋田美人の写真に「あきたびじん」と大書きし、「じ」と「ん」の間に小さく小さく「よ」の文字が入ったポスターは人目を引いた。なまはげの写真に「Any Bad Kids?」と書いたポスターは、「悪い子(ご)は居ねが~」という秋田弁のなまはげの文句を英語化したもので、世界に秋田の文化が広がっていくきっかけになりつつある。

 島根県隠岐の海士(あま)町で梅原さんが打ち出したコピーは、「ないものはない」。都会のように便利ではなくモノも豊富にあるわけではないが、自然や郷土の恵みは豊かで、暮らすために必要なものは十分にある、そんな意味が込められている。

 『水』の本の出版から20年が経ったのを機に、梅原さんは『川』の本を作ることにした。水や川を中心とした自然も、人々の暮らしも大きく変化し、大事なものとは何かが分からなくなった今、もう一度、川について考えてみよう、というのがコンセプトだ。最後の清流とも言われる四万十川を守り、その恵みで町おこしをしてきた梅原さんの社会デザインの原点に戻る企画とも言えた。

 もちろん、面識のない作家に依頼する手法は同じ。三浦しをん、養老孟司など著名人32人が原稿を寄せた。

  
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◆Wedge2019年10月号より

 

 

 

 

 

 

 
 


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