2022年12月10日(土)

Wedge REPORT

2019年9月23日

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相撲界に世代交代を印象付ける

 無双横綱の白鵬もピークは過ぎ、土俵人生は「最終章」を迎えつつある。帰化も認められ、引退後には日本人の親方として後進育成に努める決意も腹に据えた。第二の人生を着々と描いているが、来年夏の東京五輪までは現役を続ける意向を持っている。白鵬本人としてはボロボロになりながら相撲をとる姿を見せるつもりなど毛頭なく、最後まで無双横綱として君臨し、綺麗な幕引きを図るつもりであろう。それが白鵬の貫く美学だからだ。

 だが「勝ち逃げ」を許してはいけない。白鵬を相手に真っ向勝負で倒し、力の差を見せつけて相撲界に世代交代を印象付ける。この〝介錯人〟としての役割を御嶽海、あるいは貴景勝に求めたい。 日本相撲協会の周辺からも次のような声が聞こえてくる。

 「白鵬は史上最強横綱の伝説を崩すことなく、東京五輪で土俵入りの夢を叶えた後、どこかのタイミングで身を引く。あまり時間的な猶予はない。それまで御嶽海、貴景勝あたりが取組で完勝し、白鵬に勝っての幕内優勝を成し遂げなければいけない。もちろん2人だけではなく、他の若い力士でもいい。とにかく新しく相撲界を引っ張っていく若い日本人力士の台頭がなければ、白鵬引退後の空洞化につながる恐れがある。白鵬に引導を渡せないまま辞められてしまったら、世の中は『結局、誰も無双横綱を倒せなかった』と思い込み、その後の相撲界の人気低迷を招いてしまうことにもつながりかねない。白鵬不在の場所ではなく、堂々と白鵬に勝って賜杯を手にすることが何よりも必要だ」

 白鵬の〝介錯人候補〟として期待値が高まっているとはいえ、まだまだ2人の力士には物足りなさや未熟さも論及されている。御嶽海は今場所の取組で立ち合いの変化を見せ、次期大関の呼び声が高い中での注文相撲に批判が殺到した。「稽古嫌い」と評される上に「このままでは仮に大関になれても、今の大関たちと同じ『万年大関』で終わる」と予想する関係者も少なくない。

 さらに心配なのは貴景勝だ。左胸付近の負傷がどの程度のものなのかは現時点で不透明。だが元横綱稀勢の里の荒磯親方も現役時代、引退に追い込まれた大きな要因となったのは左上腕に加え、この左胸の負傷だった。それだけに早期回復は確かに容易ではないかもしれない。角界では「貴景勝はケガが多過ぎ。あの小柄な身長(175センチ)に対し、169キロもある体重がネックになっていることも考えられる。典型的なあんこ型力士の突き押し相撲が大きな武器とはいえ、それが負傷と背中合わせとなっているようでは諸刃の剣だ」と不安視する向きもある。

 白鵬が現役を退くまで伝説を守り抜くのか。それとも御嶽海、貴景勝ら新時代の旗手が〝介錯人〟として無双横綱に引導を渡せるのか。日本相撲協会の関係者並びに好角家の多くも固唾を飲みながら来場所の戦いを注視することだろう。

  
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