巨人が5年ぶりのリーグVへ着々と歩を進めている。15日は本拠地・東京ドームで阪神タイガースを相手にアレックス・ゲレーロ外野手の2ランが終盤に爆発し、鮮やかな逆転勝ち。リーグ優勝へのマジックナンバーを「5」に減らし、歓喜の美酒に浸る日が刻一刻と近づきつつある。16日から残り10試合。ラストスパートをかけて、とにかく早くVを決めたいところだろう。
だが、その一方でチームにとって非常に気がかりな難題が生じている。エースの菅野智之投手が〝ダッチロール〟を繰り返していることだ。この日の阪神戦で先発マウンドに立ったものの、4回6安打4失点で途中降板。腰痛による登録抹消からの復帰登板だったが、試合を作れず自ら交代を願い出たという。
責任感の強い菅野が珍しく首脳陣に交代を直訴したというのだから、コンディションに異常が生じていることは明らかだ。16日中に再び登録抹消となる可能性もあり、コンディションが万全な状態にならなければ今季公式戦での一軍登板は回避することになるかもしれない。
ルーキーイヤー以来となる防御率3点台
今季の菅野は誰が見ても本調子とは程遠い。腰痛による戦線離脱も、ここまで2度繰り返している。11勝を飾っているとはいえ、22試合に登板して防御率3・89の成績は「無双投手」と呼ばれる菅野にしてみれば明らかに物足りない。
このままならばルーキーイヤーの2013年以来となる防御率3点台は確実で同年の3・12よりも上回り、自己ワーストとなりそうな気配である。昨季、史上5人目となる2年連続の沢村賞受賞を果たしたのが、まるで蜃気楼のようだ。
無意識のうちに腰をかばっているせいなのだろうか。多くの有識者が指摘する通り、今季の菅野は上体だけで投げているシーンが時折見受けられる。ボールに球威がなく、いわゆる〝置きに行く投球〟で痛打されることも珍しくない。コンディションを完全回復させないまま騙しだましでマウンドに立っているような印象も受ける。