付け焼き刃の階段昇り降り
普段山歩きはおろか何も運動をしていない年金生活者の65歳のオジサンにとり最大の障壁は“脚力”である。梅雨明け後の7月下旬から出発までの2カ月、脚力強化に取り組んだ。
自宅近くの神社から丘の上にある浄水場まで200段の石段がある。毎日この石段の昇り降りをすることにした。
近隣の老若男女が朝夕この石段をせっせと昇り降りしている。丘の上からは東京都心が一望できて人気スポットのようだ。
当初はスニーカーを履いて空身で数回昇降するのが限界であったが、出発直前には登山靴を穿いて8キロのザックを背負って往復5回昇降できるようになった。
事前説明は口頭伝承のみ
9月16日 登山開始前日、我々一行3人はタンザニアのモシの町のホテルに宿泊。そこへ山岳ガイドのナセリ君、ポーターのジェリー君が来て、我々3人の装備品をチェック。シュラフと防寒具と登山靴を特に入念にチェック。小生の寝袋が軽量なので5000mの高所に耐えられるか懸念していたが、高性能でしかもオーバーシュラフやインナーも持参していることを説明してやっとOKがでた。
その後、ルート説明。ナセリが英語で説明するのだが、訛りがあるのと聞き慣れない地名がどんどん出てくるのでイメージがつかめない。さらに聞き直すたびに距離や時間が微妙に異なる。同じ区間が“5キロ”から“6キロくらい”にり、所要時間も“1時間以上”が“1時間半くらい”に変わる。
ナセリの口頭伝承をメモしてなんとなく5泊6日の行程をイメージしたが、どうにも不安なのでノートに手書きでルートを書いてもらい地名と距離を記入した。それでも判然としない。
執拗に頼んで地図を持参するよう依頼した。翌日持って来たのはグーグルマップをプリントしたA4一枚。麓の町の名前と山頂くらいしか書いていない超大雑把なシロモノだ。
聞くと、欧米人も日本人も事前に詳細ルートを研究して来るのでルートマップを要求する登山客は皆無という。それに道に迷うことはないので地図は不要とナセリ君は自信満々に断言。