定年バックパッカー海外放浪記

2019年4月28日

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限界アパート今昔物語

(ColobusYeti/gettyimages)

 承前。実家の老朽アパートであるコーポ◎◎の住人の入れ替わりと並行して、義父の所有する『△△ハイム』でもトラブルが進行していた。△△ハイムは義父母が住んでいる敷地内にある築42年の木造モルタル塗り老朽アパート。

 駅から徒歩5分、商店街まで徒歩1分、都心への通勤時間50分という好立地条件から、42年前の新築時には棟上げ式前に8室全て入居者が決まっていたというのが義父の自慢であった。

 6畳の和室、トイレ、浴室、台所という典型的昭和の1Kの間取り。高度成長期には常に若い勤め人で満室、築後数年でローンを繰上げ完済したという。

 私自身も△△ハイムの近所に住んでいるので、限界アパート化している現状はそれとなく見知っていた。数年前からある部屋から異臭がすると時折苦情が寄せられていた。ゴミを溜め込んで、さらに野良猫が何匹も窓の隙間から出入りしていた。

 義父母から相談を受けて即日対策に着手。義父母も90歳近い高齢なので早々に△△ハイムの管理を全て引き受ける時期であった。

ゴミ溜め部屋の住人

 先ずは敵情把握。契約書類を整理して義父母にヒアリングした:

  1. 借主のN氏は地方出身の44歳。結婚歴なし。職業は電気工。17年前に中堅ゼネコンの独身寮から転居。現在は電気工事会社勤務。夜勤や出張が多い。
  2. 連帯保証人は地方公務員の父親。役場に電話すると既に死去していた。法的には遺産相続した母親が連帯保証責任を負うことになる。最後の更新契約書が締結されてから3年以上経っている。無契約書状態だが家賃は毎月払っている。

不動産屋は引退し行方不明

 事実確認するために不動産屋を訪問したが廃業していた。隣家によると老齢のため1年前に店を閉めたが転居先は不詳。郵便局に転居先を照会したが規則で開示できないと。青色申告会に照会したが記録がない。

 商店街を尋ね回ると、蕎麦屋の女将さんが隣町の工場の近くに越したことを覚えていた。隣町の町内地図を調べてやっとのことで元不動産屋の老人と面談。事実関係を確認した。

契約更新手続

 未払いとなっている2回分の契約更新料、即ち家賃2カ月分を納付してもらうのが第一歩だ。居室を訪問して自分で作成した新契約書を手交。

 その場でN氏の署名捺印を取り付けて契約書を2通とも回収した。連帯保証人である母親に直接郵送して署名捺印してもらうためである。

 このやり取りは全てドア越しで行われた。N氏はドアを開けることを拒み、書類をドアの下の隙間から出し入れした。ちなみに法律上は緊急時以外、借主には開錠義務はなく、大家は強行立入できない。

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