2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2019年4月28日

 母親からの返信が遅いので、電話で母親と話したが認知症らしく、埒があかない。長兄と名乗る人物が電話を代わってくれた。実直な人柄で手続きを引き受けてくれた。

 数日後、N氏は翌月分家賃と契約更新料の2カ月分家賃相当額を我が家に持参した。

原状回復誓約書

 第2段階として、3週間以内に居室を原状回復するという趣旨の誓約書を提出してもらった。
室内を清掃・消毒・消臭して大家による確認を受けるという義務を課したのだ。

 何度も同様に警告書、誓約書を繰り返したが埒があかない。夜勤出張が多いことは割り引いてもN氏は逃げているようであった。

 N氏に電話すると毎度必ず「数日以内に必ず実行しますのでご勘弁下さい」と平身低頭。夜間に居室のドアをノックして督促すると消え入るような声で謝る。

 不潔な居住空間で暮らすのは心の病と聞くが、N氏も心の闇を抱えていたのだろうか。

最後通牒に絶句

 業を煮やした私は携帯電話で「○月△日までに原状回復しない場合には勤務先とご実家に相談させて頂きます」と通告して、同時に書面を居室のドアに投げ込んだ。

 電話口でN氏は長い沈黙の後「わかりました」とだけ答えた。最終期限の3日前にN氏より「明日から清掃会社が作業を始めますのでよろしくお願いします」と突然連絡があった。

特殊清掃業者

 作業開始当日の朝、業者の代表が挨拶に来た。威勢のいい元ヤンキー系っぽいお兄さんだ。遺品整理、ゴミ屋敷清掃、廃品回収などを手掛ける業者で清掃のみならず消毒・消臭を実施する“特殊清掃”業者である。

パンドラの箱を開けたら

 作業を開始した途端に、血相を変えて代表のお兄さんが我が家に駆け込んできた。「旦那さん、とにかく現場に来てよ」と語気が荒い。

 衝撃の光景であった。奥の6畳間と台所は天井までゴミが堆積して、畳も天井もほとんど見えない。手前の床板は得体のしれない生ごみと液体で腐敗して、大きな穴が開いていた。

 作業員が台所に入った途端に床板が崩落して陥没したとのこと。室内の天井板は腐って大半が消失していた。

 居室全体が猫、ネズミ、ゴキブリの糞尿で覆われて、強烈なアンモニア臭で目を開いていられない。水洗便器も浴槽も汚物とゴミで覆われ使用不能状態だ。居室全体が『巨大な肥溜め』と化していた。

原状回復不能

 清掃作業員は原発の炉内作業員のような顔全体を覆うマスク、ゴーグル、つなぎの作業服、分厚いゴム手袋、白い長靴で完全武装している。

 代表は私に「旦那さん、どこまで作業すれば良いのか教えてくださいよ。フツウの人間が住める状態にすることは不可能ですよ。ゴミを撤去するという依頼だけだったので、割増料金が必要ですよ」と怒気を込めて詰問してくる。

 その場でN氏へ電話してゴミ撤去・清掃・消毒・消臭をして近隣へ迷惑がかからない状態にすることを要求。


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