BEO経営者らが現地警察当局に逮捕
留学生の親たちは被害者の会を結成し、同プログラムの責任追求に乗り出した。そして今年7月、BEO経営者らが現地警察当局に逮捕されることになった。さらに翌8月には、プログラムを中心になって進めたブータン労働人材省の高官に加え、同省の前大臣までも起訴された。前大臣については直接の起訴理由は別件だが、プログラムの影響も少なからずあったに違いない。ちなみに労働人材省高官と前大臣の起訴は、ちょうど秋篠宮家の現地訪問中の出来事である。
ブータン人留学生たちの大半は今年3月、日本語学校を卒業した。その多くは「簡単にできる」と説明されていた就職や進学を果たせず、ブータンへと帰国していった。留学費用として背負った借金を抱えてのことである。
「学び・稼ぐプログラム」では、留学費用の70万ニュルタム(同約120万円)を年利8パーセントでブータン政府系の金融機関が貸しつけていた。毎月2万円以上の返済が5年間にわたって続くスキームだ。
ブータンへと戻った留学生たちには、半分以上の借金が残っている。だが、帰国後に仕事が見つかった者はほとんどいない。当然、借金返済の目処も全くない。日本への留学によって、彼らの人生は台無しになってしまった。
一方、今も日本に残るブータン人留学生たちがいる。プログラム最後のグループとして2018年4月に来日し、日本語学校に在籍中の留学生たちと、日本語学校を卒業して専門学校や大学に進学したブータン人たちだ。彼らもまた、別の意味での苦しみを味わい続けている。
1回目『日本人が目を向けない「消えた留学生」の深層』
3回目『日本語学校で横行する留学生「強制送還」の闇』
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