Wedge REPORT

2019年11月5日

»著者プロフィール
閉じる

出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

BEO経営者らが現地警察当局に逮捕

 留学生の親たちは被害者の会を結成し、同プログラムの責任追求に乗り出した。そして今年7月、BEO経営者らが現地警察当局に逮捕されることになった。さらに翌8月には、プログラムを中心になって進めたブータン労働人材省の高官に加え、同省の前大臣までも起訴された。前大臣については直接の起訴理由は別件だが、プログラムの影響も少なからずあったに違いない。ちなみに労働人材省高官と前大臣の起訴は、ちょうど秋篠宮家の現地訪問中の出来事である。

 ブータン人留学生たちの大半は今年3月、日本語学校を卒業した。その多くは「簡単にできる」と説明されていた就職や進学を果たせず、ブータンへと帰国していった。留学費用として背負った借金を抱えてのことである。

 「学び・稼ぐプログラム」では、留学費用の70万ニュルタム(同約120万円)を年利8パーセントでブータン政府系の金融機関が貸しつけていた。毎月2万円以上の返済が5年間にわたって続くスキームだ。

 ブータンへと戻った留学生たちには、半分以上の借金が残っている。だが、帰国後に仕事が見つかった者はほとんどいない。当然、借金返済の目処も全くない。日本への留学によって、彼らの人生は台無しになってしまった。

 一方、今も日本に残るブータン人留学生たちがいる。プログラム最後のグループとして2018年4月に来日し、日本語学校に在籍中の留学生たちと、日本語学校を卒業して専門学校や大学に進学したブータン人たちだ。彼らもまた、別の意味での苦しみを味わい続けている。

1回目『日本人が目を向けない「消えた留学生」の深層』
3回目『日本語学校で横行する留学生「強制送還」の闇』

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る