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2019年11月1日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』の記者を経て独立。著書に、『松下政経塾とは何か』『長寿大国の虚構―外国人介護士の現場を追う―』(共に新潮社)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)。近著に『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)など。

(B_Lucava/gettyimages)

 今年3月、東京福祉大学で過去1年間に約700人もの留学生が所在不明となっていることが発覚し、テレビや新聞で大きく報じられた。同大には出稼ぎ目的の留学生が多数入学していた。そんな留学生が学校から相次いで姿をくらました。学費の支払いを逃れて不法就労するためである。

 同大の問題は国会でも取り上げられ、政府は対応を迫られた。そして留学生の受け入れ先となっている学校に対し、監督を強化する方針が打ち出された。

 まず、法務省出入国在留管理庁が6月、文科省と共同で『留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応指針』を発表した。除籍や退学となる留学生を多く出し続けた大学や専門学校には、留学生の受け入れを停止するのだという。

 8月には、日本語学校の運営も厳しく監視されることが決まった。日本語学校は留学生の日本での入り口だ。各学校には今後、留学生の授業への出席率やアルバイトの時間など、これまで以上に管理することが求められる。

 こうした方針に関し、大手メディアは「日本語学校を厳格化 9月から新基準 悪質校を排除」(2019年8月1日『日本経済新聞』電子版)といった具合に報じている。だが、新たな政策によって、本当に「悪質校」は排除されるのだろうか。

 留学生の数は2018年末時点で33万7000人に達し、12年末からの6年間で16万人近く増えた。安倍政権が「成長戦略」に掲げる「留学生30万人計画」も、2020年の目標を待たずに達成された。

 その過程で急増したのが、アジア新興国出身の留学生だった。ベトナムからの留学生は12年から約9倍に増え、8万人を超えるまでになった。また、ネパール人留学生も約6倍の2.9万人程度まで増えている。こうした新興国出身者には、勉強よりも出稼ぎが目的の“偽装留学生”が数多く含まれる。

 “偽装留学生”は日本語学校に支払う初年度の学費など、留学費用を借金に頼っている。こうした留学費用を自腹でまかなえない外国人に対し、政府は本来、留学ビザの発給を認めていない。しかし、原則を守っていれば、「留学生30万人計画」は達成できなかった。だからルールを無視して、経済力のない外国人にまでビザを発給し続けてきた。

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