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2019年11月1日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

不法残留者は5年連続で増加中

 “偽装留学生”は、日本にとっては都合のよい存在だ。学費を支払ってくれるばかりか、安価な労働力としても利用できる。留学生には「週28時間以内」のアルバイトが認められるからだ。

 日本語が不自由な留学生でも、アルバイトを見つけるのは難しくない。ただし、日本人に嫌がられ、働き手が不足する低賃金の重労働ばかりである。企業にとって留学生は実にありがたい。そのため「30万人計画」は、底辺労働者を日本に呼び込むためのツールとなっている。

 そんな同計画の歪みが露呈したのが、東京福祉大の「消えた留学生」問題だった。

 独立行政法人「日本学生支援機構」によれば、東京福祉大は早稲田大に次ぎ、全国2位の5133人(2018年5月1日現在)の留学生を受け入れている。うち約2700人が、「学部研究生」と呼ばれる非正規の1年コースに在籍する。同大で所在不明となった留学生も、約7割は学部研究生だった。

 学部研究生コースは、大学などへ進学するための準備期間という建前だ。日本語能力を実質問われず入学でき、学費も年62万8000円と、一般の大学や専門学校と比べて数十万円は安い。そして大学側は、自らの裁量で定員を設けず留学生を受け入れられる。そのため日本語学校を卒業した“偽装留学生”が続々と押し寄せていた。

 留学生が学校を除籍もしくは退学になった後も、アルバイトを続けていれば違法とみなされる。また、留学ビザの在留期限が切れて日本に留まっていれば、不法残留にも問われる。

 不法残留者の数は今年1月1日時点で7万4167人に上り、5年連続で増加中だ。留学生から不法残留となった外国人も4708人と、過去1年間で約15パーセント増加した。不法残留者の増加は、法務省が最も気にかける問題の1つである。東京福祉大の問題は、同省といても見過ぎせない。

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