Wedge REPORT

2019年11月20日

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 「新築住宅を建てると、その経済効果は住宅価格の2倍あると言われた時期があった。1990年代まではそうだったかもしれないが、今は2倍もないのでは。1戸新築を作れば1戸空き家が生まれる状況で、かえってマイナスになることもあるのではないか。

 一種の宗教のようなもので、(日本政府は)新築が良いと信じている。私は以前から住宅の『総量管理』をすべきだと主張しているのだが、あまり賛同してもらえない」(長嶋氏)。

 住宅のストックとなった約6200万戸の住宅の多くが有効に活用されているならまだしも、7戸のうち1戸が空き家状態で、人口減少が加速する中、今までと同じペースで新築を建て続けるのは無理がある。新築はほどほどにして、今ある膨大なストックの中から長く住める住宅を見つけ出す政策を真剣に考えるべき時期に来ているのではないだろうか。

 60年代の日本が高度成長を続けてきたころに、国の政策として行われてきた住宅建設5カ年計画という住宅供給を計画的に進める政策があったが2006年に終了した。その後は住生活基本法が制定され、居住水準、住宅環境など、住宅の量から質の向上を目指す政策に転換された。

 ただし、政府は20年までに中古流通住宅・リフォーム市場の規模を2倍(20兆円)にしようとしたが、達成できていない(「新成長戦略」10年6月17日閣議決定)。

 中古流通を妨げる要因として、不動産売買の商慣行もあげられる。日本では中古の売買を行う場合、宅地建物取引士の資格を持った仲介業者が売買する人の間に入り、取引が成立すれば「売り」と「買い」の両方から手数料を得る(売りと買い、別々の仲介業者もある)。これは、「両手取引」と呼ばれ、米国では原則的に禁止されている(Wedge12月号PART3にて詳述)。「高く売りたい」という売り主と、「安く買いたい」という買い主に対して、同じ仲介業者が介在するのは「利益相反」になるという考えからだ。

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 また、仲介業者は全国4地域に分かれて中古物件が登録されている不動産流通標準情報システム(REINS)と呼ばれるシステムを見て、顧客に希望する物件を紹介する。ただ、このシステムは物件について、築年数、間取り、価格などが表示されているが、リフォーム履歴、物件の周辺情報などは含まれていない。物件情報だけでなく周辺情報などあらゆる情報が盛り込まれている米国の不動産情報システム(MLS)とは成り立ちが異なる。

 このような中古仲介における情報の非対称性や不透明さが、購入者に二の足を踏ませているという実態もある。

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