Wedge REPORT

2019年10月9日

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ハプティックによってリノベされた部屋

 「このところ、住宅を持たないというトレンドが強まっていると思います」

 そう話すのは、賃貸マンションやオフィスのリノベーションを行うグッドデイズホールディングス代表取締役の小倉弘之さん(39)。東大経済学部を卒業後、大手ゼネコンに就職し、そのころ住んでいた賃貸マンションの部屋が、あまりにも味気なく感じたため、大家さんと交渉して自前で部屋をリフォームした。温かみのある雰囲気を出すために、床を天然の無垢材に張り替えるなどした。小倉さんの転居後もこの部屋が人気だと聞いたことで、ひらめくものがあった。

 「時代のニーズに合っていないことで有効活用されていない住宅ストックを再生することで、より多く活用されるようになるはず」と、起業を思い立った。しかし、自分には経営の経験がない。まずは事業計画や経営ノウハウを学ぶため、ボストンコンサルティングに転職。ノウハウを身に着けて2009年、起業した。

 小倉さんが立ち上げたビジネスモデルはこうだ。バブル期から1990年代に流行したワンルーム・単身者向けのユニットバス住宅などをはじめとして、現在のニーズに合っておらず、借り手がつかない物件に注目した。

他社よりも2割程度安い施工

小倉さん

 そこで賃貸マンションに特化することで、間取りをパターン化したり、建材の大量発注や自社大工による施工などによりコストを省き、天然無垢床にこだわった飽きのこないデザインでありながら他社よりも2割程度安い施工を実現した。

 また、リノベーション物件の早期入居を目指すため、13年には物件紹介と仲介を行うポータルサイト「goodroom」を運営するグッドルーム社を立ち上げ、リノベーションから入居者募集までを一気通貫でできるようにした。

 これによって、物件を所有するオーナーにとって課題であった、「どこに工事を頼めばよいか不明」「いくら料金がかかるか不安」「工事後いつ入居者が決まるかわからない」などといったことを解決した。

 その後、ハプティックが手掛けた物件は女性を中心とした若者やデザイナーズ物件好きの人たちを中心に多くのファンを獲得、ムック本が出版されるなど高い人気と評価を受け、goodroomは月間ユーザー数が60万人に達する業界屈指の人気サイトに成長した。

 16年にはハプティックやグッドデイズなどを中核子会社とするグッドデイズホールディングス社を設立し、今年3月、東証マザーズに上場した。ハプティックの施工実績は、これまで4700件、月平均64件、工事完了前の入居申し込み65%、賃料のアップ率は平均で16.6%となった。賃貸物件を所有するオーナーは安心感を持ってリノベーションのための投資ができるようになっている。

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