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2019年10月3日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 仲介業者を通して取引をするのが当たり前の中古、賃貸住宅の分野にIT、ハイテクを導入して、極力、将来的に人を介さずにワンクリック、ワンストップで取引が完了する効率的なシステムを作ろうとしているイノベーターがいる。サービス業の中でもハイテク化が遅れている不動産業界にテクノロジーを持ち込んだのがGAテクノロジーズ(東京・港区)を起業した樋口龍社長で、36歳の若さだ。業績は順調に伸びており、社員数も急増して現在349人(7月末時点)、このうちエンジニアの数は40%以上で、テクノロジーで武装した不動産会社と言うイメージだ。

(metamorworks/gettyimages)

不動産情報をデータ化

樋口龍社長

 幼いころからサッカー選手を夢見て、ジェフユナイテッド市原(現在J2)に育成選手として所属したが、24歳の時にビジネスマンに転身し、2013年にGAテクノロジーズを設立した。

 不動産業界に身を置いてみて痛感したのが、売り出し価格などが業者目線でしか提供されておらず、利用者との間に情報のズレがあることだった。また、テクノロジー化の遅れにより大量の紙と人に頼るビジネス慣行が残っていた。

 これを解決する方法として樋口社長は「ネットとリアルの融合を掲げて事業を進めているので、物件情報の提供から中古不動産の売買・仲介、リノベーションの企画・設計、購入後のフォローアップまで、これまでは分業制だったサービスを一気通貫で提供できる」と説明する。

 「金融サービス業界では銀行、証券、生命保険などの分野ではITを活用したフィンテックの動きが進む中で、不動産は相変わらずアナログの世界で構造的にも遅れているので、逆にチャンスがあると思った」という。まずは不動産物件に関するデータをあらゆる手段を使って集めたい考えで、「紙で表示していたものをデータ化することにより、分かりにくかった不動産情報をより透明化できる。そうすることで、中古市場をより活性化できるのではないか」と指摘する。

好きな時に部屋を内見できる

 テクノロジーで不動産の賃貸取引を円滑にするため、関連会社の「イタンジ」が9月24日からセルフ内見型 賃貸サービス「OHEYA GO(オヘヤゴー)」をオープンした。「オヘヤゴー」は、スマートロックを活用することで、入居希望者が内見から申し込みまでが即日中に可能な新しい部屋探し体験を提供するサービスで、不動産会社へ一度も来店することなく、物件を借りることが可能になる。

 これまでの部屋探しは、入居希望者は不動産サイト等で物件を検索した後、物件を取り扱う不動産仲介会社に対して問い合わせをして、不動産仲介会社の担当者と内見スケジュールを調整して内見をする必要があった。物件への申し込みも、申込書や保証会社への審査書類など複数の書類を手書きで記入する必要があるなど、手間が掛かっていた。

 新しいシステムは、入居希望者は、従来のように不動産仲介会社の営業マンと内見時間の調整を行ったり、鍵の受け渡しなどのタイムロスをしたりすることなく、スマートフォンからワンクリックで内見予約ができるため、早朝やランチタイム、夜などの隙間時間を活用し、自身のペースで希望物件の内見ができる。内見して気に入れば、その場でスマートフォンから入居申し込みができ、保証会社の審査へも連携できるため、複数書類を記入・送付する必要がない。

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