「今が黎明期」
GAテクノロジーズは不動産とテクノロジーを融合させるため、不動産テック総合ブランド「RENOSY(リノシー)」を運営、会員数は5万人になっているという。このサイトにアクセスすれば、不動産に関するさまざまなデータを入手することが可能になり、物件を探し、比較検討、申し込み契約、管理までがワンストップででき、AIを活用して利用者に最適な物件情報の提供が可能になるという。
最新のフィンテックを活用したこうした試みをしている不動産関連会社はほかにはないという。このサービスが利用者に受けて集客力が増し、収益増加に貢献している。
樋口社長は「不動産のテクノロジー化は始まったばかりで、今が黎明期だ。秋から賃貸物件をWeb上で探せる社会実験も始まり、チャレンジの時を迎えている。この流れをさらに促進させて、ユーザーの利便性の高い不動産サービスを目指す」と意欲を燃やしている。
高額物件の売買が課題
しかし、売買価格が1億円以上の高額物件の不動産売買となると、売主はどうしても、買主がどんな人物か会いたくなる傾向があり、Webだけで取引が完結するのは難しく、これまで通り紙の契約を求める傾向が強い。業界に詳しい関係者は「不動産業界のテクノロジー化の流れは進むとしても、依然として人に頼るウエットな面も残っているので、これをどう解決するかが今後の課題だ」と指摘する。
GAテクノロジーが進めようとしている、不動産業界のテクノロジー化はまだ緒に就いたばかりだ。小口案件から進めて、業界の中に人手を介さない仕組みが時間を掛けて定着してくれば、高額物件も可能になるかもしれない。古い習慣が残っている不動産業界をテクノロジーで変革できるかどうか、樋口社長の手腕に注目したい。
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