Wedge REPORT

2019年10月9日

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 そんな小倉さんに「スクラップ・アンド・ビルド」の流れを変えることができたという実感はあるか? と尋ねると、「日本全体のストック数(6060万戸)を考えると、まだまだです」という。

 需要サイドを見ると「かつてのように住宅価格が上がらなくなり、住宅を所有するメリットも少なくなってきています。サブスクリプション、シェアリングといった消費行動が一般的になっているなか、一生『賃貸でいい』という層が増えてきていると思います」と小倉さん。

 一方で、供給サイドを見ると「賃貸物件では、グレードが低いままです。分譲だと当たり前になりつつある人工大理石のキッチンはなかったり、使用されている材がいまいちだったり」という状況のままだ。

 特に、ファミリー世帯向けとなると、適当な広さの物件が極端に少なくなり、「高い家賃を払うなら買ったほうがいい」となる場合が少なくなく、ユーザー目線での供給は遅れている。だからこそ、ハプティックのようなサービスが広がることで、一人暮らしだけでなくファミリー世帯の需要を取り込むこと可能性を広げることができる。駅から離れ築年数が古く占有面積が狭い公団住宅のファミリー向け物件や、入居者が決まらないワンルームなどを、隣り合う空き部屋を一つにする大胆なリノベーションにより、すぐに満室にしたのはその一例だ。

課題として残る分譲物件

 ただ、リノベーションに関しても課題は残る。賃貸物件はリノベーションをすることで賃料アップというメリットが目に見える形で表れるが、分譲住宅の場合、リノベーションをしたからといって物件価格が上がるかというと、その評価基準が不透明のままだ。

 いずれにしても空き家が社会問題化するなかで、日本の中古不動産市場を活性化させることは急務だ。ハプティックのような新しいプレーヤーが業界に参入しイノベーションを起こすことがより一層求められている。

  
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