前向きに読み解く経済の裏側

2019年9月30日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 人間は最初に見た数字に影響される傾向があるから、錯覚に基づく誤った決定をしないように注意が必要だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

(Kwangmoozaa/gettyimages)

人間は、最初に見た数字に影響される

 学生を集めた実験をします。第一グループに「質問です。利根川は100キロより長いですか? イェスかノーか、書いて下さい。では、利根川は何キロですか? 思った数字を書いて下さい」と出題し、第二グループに同様に「利根川は500キロより長いですか? では、利根川は何キロですか?」と出題し、書かれた答えを比べると、第二グループの方が長いのだそうです。

 「100キロよりは長いだろうから、200キロかな」「500キロよりは短いだろうから、300キロかな」といった具合に答えを書く人が多いのでしょうね。

 「人間は最初に見た数字が頭にインプットされて、それに影響される」ということのようです。人類の進化の過程で、「次に遭遇する猛獣の大きさは全くわからない」と考えるよりは「前回の猛獣と同じだと仮定して用意をしよう」と考える方が生き延びる確率が高かった、といった事なのかもしれません。

 さて、上記の問だと、「100キロより長いか否かを聞かれているのだから、100キロというのは人々が迷うような数字なのだろう。そうだとすると、100キロと近いところに正解があるはずだ」といった思い込みをする人もいるかもしれませんね。

 じつは、そうした思い込みを排除するため、「運転免許証の下3桁を書きなさい」「利根川の長さは何キロですか?」という設問でも、下3桁の数字が大きい人ほど長い距離を書く、という傾向があるらしいです。にわかには信じがたいですが、真面目な行動経済学者が言っていることですから、そうなのでしょう。

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