2023年12月2日(土)

前向きに読み解く経済の裏側

2019年9月9日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 過去のデータを見る事は重要ですが、それに頼り切る事は危険だ、と久留米大学商学部教授の塚崎公義は説きます。

(MonikM/gettyimages)

バブル期の銀行融資は過去のデータの過信が一因だったかも

 バブルの頃、銀行は不動産を担保にした融資を積極的に行っていました。その理由の一つは、「昨年度は、不動産担保の融資が全く焦げ付かなかった。不動産担保融資は安全だ」という理屈にあったのかもしれません。

 部下から「昨年のデータを見て下さい」と言われると、上司としては反論しにくいですね。客観的なデータほど説得力のある物はありませんから。

 しかし、過去のデータはあくまでも過去のデータですから、これを見て物事を判断するのは、バックミラーを見ながら運転するようなものなのです。気をつけましょう。

 実際、バブルの時には「土地の値段は一昨年も昨年も上がったから、今年も上がるだろう。そうなれば、不動産担保融資も無事に回収できるだろう」という「勝手読み」が「地価暴落による融資の大量焦げ付き」という悲劇を生んだわけですから。

 バブルが崩壊してから、「バブル期は土地神話を信じたのが失敗だった」と言われました。戦後の地価が一貫して上昇を続けたことから「地価は下がらない」と信じる人が多かった、ということのようです。


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