制裁同調は同盟国としての日本の務め
このような状況で、米国は対イラン制裁法(米国防権限法)を制定し、同盟国や友邦国に同調を求めており、EU諸国も今年7月から制裁強化に踏み切る。もしイランからの石油輸入を大幅に減らさなければ、米国での金融取引禁止という厳しい制裁を受ける。幸い今回は、日米交渉の結果、日本のイランからの石油輸入量削減努力(約10%削減)が認められて、米国の制裁法の適用を免除されたが、将来の成り行きいかんによっては、さらなる努力が求められるので、安閑としていられない。
日本としては、よりによって、福島第一原発事故でほぼ全滅した原発(もし今後再稼働がなければ5月中に54基すべて停止)の穴埋めに火力発電を拡大しなければならないこの時期に、イラン石油のさらなる輸入削減を強いられるのは、大変な犠牲を伴うわけだが、これが同盟国の務めというものであろう。
KYの「宇宙人」では済まされない
鳩山氏もそのことを理解していないはずはないと思うが、それにしても、この微妙な時期にテヘランに乗り込んで、何ほどの成果を挙げられると思ったのか。米欧グループに同調する立場の日本として、最も重要なことは、この連繋プレーを積極的に支えること、少なくともその足を引っ張らないことだ。
先方の逆宣伝に利用されることを十分認識せずに出かけたとすれば不勉強、不見識の極みだが、もしその危険を知った上で敢えて行ったのだとすれば、何をかいわんや。普天間問題の時と同様、空気が読めない「宇宙人」だからどうにも仕方がないという解釈は、国内のジョークならともかく、国際的には、元首相という立場上到底許されないことだ。
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