Wedge REPORT

2020年1月4日

池田 純(Jun Ikeda):さいたまスポーツコミッション会長。1976年横浜市生まれ。早稲田大学を卒業後、住友商事、博報堂等を経て2005年に独立。11年から横浜DeNAベイスターズ初代社長に就き、5年間で売上52億円から100億円超に倍増させ黒字化を実現。19年3月から現職。近著に『横浜ストロングスタイル』(文藝春秋)。

 スポーツは地域活性化の”元気玉”となる潜在能力を秘めている。それを開花させるためには、行政、民間、競技団体がビジョンを共有し、それを民間思考で大胆に実行に移せるかどうかにかかっている。

 ビジョンを描くには、地域に根付く可能性のあるスポーツ資源を三角形の中に配置してみるとよい。横浜DeNAベイスターズの社長時代は、球団を頂点に、ジュニアや草野球のアマチュアの大会を順に並べ、裾野には市民に開かれたスタジアム(ボールパーク)や市内の公園を位置付けた。

 そして各階層の資源を活用して、市民と野球との接点をどうやって増やしていくかを考え、マーケットを拡大していった。例えば、仕事帰りのサラリーマンをスタジアムに呼び込むためにクラフトビールを開発したり、スタジアムのある横浜公園を開放してキャッチボールができるようにしたり、市内の公園にピッチャーマウンドを作りグローブとボールを置いたり、小学生以下72万人に野球帽子を配ったりと、コアな野球ファンだけでなく、市民が日常生活の中で”ゆる~く”野球に接して楽しめる環境を整備していった。

 365日、野球を「する」、「観る」、「応援する」ことができるようになれば、「おらが街のスポーツ」として地域に密着していく。そうなれば祭りのように、老若男女が野球を通じて集い、語らい、地域に活気が出てくる。

 地域に”プロ”や、野球、サッカーといったメジャースポーツがなくても、その地域で行われているスポーツがあれば、地域活性化の核になる。サーフィンやロッククライミングなど地域特有の自然を生かしたスポーツがあるなら、それは立派な核になる。

 しかし、注意しないといけないのは、あくまでも競技ありき、マーケットありきで考えることだ。例えば、地域に閑古鳥が鳴いているハコモノがあるからといって、それを活用するためにプロチームを誘致し、施設と地域を活性化させようという安易な考えは既に時代錯誤。そうした発想は本末転倒であり、失敗の典型である。あくまでも、地域に潜在し、根付く可能性の高いスポーツを核に据えることが大切だ。

 また、昨今のマラソンブームにのって各地でマラソン大会が乱立しているようだが、外需(地域外のランナー)頼みでは、他の地域の大会にランナーを奪われた時に大会が存続できなくなる。やはり、地域の人が主役でなければならない。

 さらに、”プロ”があったとしても、スポンサー企業に過度に依存した経営をしている場合は要注意だ。企業の業績が傾くと、チームの存続も揺らいでしまうからだ。

 スポーツによる地域活性化に持続性を持たせるためには、行政、民間、競技団体それぞれが健全経営することが大前提になる。

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