Wedge REPORT

2020年1月4日

市民を楽しませることが一丁目一番地

 現在私は、行政が産み落とした半官半民のスポーツコミッションのトップとして、さいたま市でスポーツを通じた街づくりに挑戦している。同市ではツールド・フランスのクリテリウムという大会が7年前から毎年開催されており、国内外から10万人が集まる。しかし、大会は1日だけで、主に自転車ファンのための閉じたイベントになっている。せっかくなので、これを三角形の頂点に据え、自転車スポーツや自転車文化というものを365日、地域や市民の生活に密着させられないかと構想を練り、発信し始めたところだ。

ツールド・フランスさいたまクリテリウム(AFLO)

 市内の公園にBMXやストライダーで登ったり下ったりできる「ランプ」をいくつも設置すれば、自転車が一気に身近なスポーツになるだろう。設置コストも1台30万円足らずなので、スポンサーをしてくれる地元企業も多数出てくるはずだ。

 また河川敷でグランピングができるスペースを作り、そこを拠点にしたサイクリングコースを作ってみてみたい。足湯に浸かりながらビールを飲めるような空間になれば、さらに人は集まるだろう。サイクリング目的で来ていなくても、そこで自転車が行き交っていることで、自転車との接点が生まれてくる。

 これらの構想を実現させるためには、民間の手法を取り入れつつ、何よりも行政が主体的に動かないといけない。というのも、イベントを開催する場合には公園や体育館、道路などの使用許可が必要になるし、そこに子どもたちを呼び込むためにも教育機関の協力なしには難しいからだ。

 そして民間と行政の双方にエンターテインメントの意義を理解し、民間思考に強い人材がいることも欠かせない。娯楽が多様化する時代に、スポーツに馴染みのない人に「試合を観れば楽しさがわかる」といくら言っても、誰もスタジアムに足を運んでくれない。スポーツ以外の要素を掛け合わせて楽しそうな演出や接点を創出することで、人は初めて行動するものだ。

 スポーツで地域活性化をするには、これまでにないワクワクするような仕掛けを断続的に生み出していくことが大切だ。しかし、当然だが行政は変化に不慣れ。安全安心を盾に異質な企画や進め方に思考停止させたり、前年踏襲主義に陥ったり、市民より議会に目がいったりと、新しいことがなかなか前に進まない傾向にある。

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