2024年4月25日(木)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2020年1月17日

ここで、食物繊維を多く含む食品を確認しておこう。基本的には、食物繊維は植物性食品に含まれている。動物性食品に含まれる食物繊維には、カニの殻やエビの殻があるが、これらはほとんど食されることがない。

食物繊維として多くの人の頭に浮かぶのはごぼうやたけのこであろうか。これらも食物繊維を多く含む食材ではあるが、1年を通して頻繁に食べる物ではない。食品成分表【※】で見るときくらげや角寒天や切り干し大根やあずきなどがあげられる。これらは食物繊維を圧倒的に多く含んでいるが、よく見ると全部「乾物」であることに気づくだろう。そのままで50gも100gも食べる物ではない。水分の含有量が少ないために、数字上で多く見えるのだ。

現実的に「食べる量や頻度」から考えると、豆類の中では納豆や枝豆、芋類の中ではじゃがいもやさつまいも、野菜の中ではかぼちゃやスイートコーンなどがいいのではないか。

無視できないのが穀物の中の食物繊維。100gあたりの量はそれほど多くはないのだが、主食として食べるご飯の食物繊維はバカにならない。できれば白飯ではなく、胚芽精米(できれば玄米)や雑穀米だと、食物繊維の摂取量はグンと増える。同様にパンも白くて柔らかい食パンではなく、黒くて固いパンのほうが、食物繊維の摂取としては好ましい。

食物繊維は、ほとんどの植物性食材に少しずつ含まれているので、いちどきにド~ンととろうとする(たとえばこんにゃくを山ほど食べるなど)のではなく、三度三度の食事で「加熱野菜」を積極的に食べるなどの方法で、少量ずつ摂取するのがよいだろう。加熱すると食物繊維が増えるわけではないが、1食に食べる量が生野菜よりも加熱野菜のほうが多くなるので、加熱野菜をおすすめする。

もし「簡単に朝食で食物繊維を補充したい」というのであれば、いま流行のコーンフレークだろう。

炭水化物制限など絶対にすべきではない

炭水化物のとり方としては、糖質と糖分を混同しないことが1つのポイントとなる。砂糖に代表される糖分は、甘いので食欲を刺激してついつい食べ過ぎるし、カロリーが高いので肥満の原因になるし、食後の血糖値を急激に上げて糖尿病の原因にもなりやすい。また、糖分は高カロリーである割には糖質以外の栄養素が含まれていないので、栄養素バランスが偏りやすい。

そのため、糖分の食べ過ぎは禁物だ。砂糖そのものをたくさん食べる人は少ないだろうが、洋菓子や和菓子や甘味飲料にかなりの量が含まれている。体重を落とさなければいけない肥満者や、肥満をしてはいけない人が「糖分の摂取を制限する」ことは理にかなっている。「糖質制限ダイエット」の栄養学的根拠はこのあたりにあるのだろう。

お気づきとは思うが「糖分制限」と「糖質制限」は、似てはいるのだが、まったく別の物(こと)である。糖質の主役であるデンプンは、砂糖に比べるとカロリーは半分以下だし、カロリー以外の微量栄養素も含んでいる(砂糖はカロリー以外の栄養素はほぼゼロ)。たとえばご飯は、食後の血糖値を砂糖のようなスピードで上げることもないので、いたずらに制限すべき物ではない(三度三度、大量に食べれば食べ過ぎにはなるが)。糖分制限と糖質制限を混同して、主食であるご飯・パン・麺をいたずらに制限する食事法はけっしておすすめできない。

ましてや、現代人の多くに不足している食物繊維をもとれなくしてしまう「炭水化物制限」などは、百害あって一利なしといえるほど好ましくない食事法だといえよう。

【※】
日本食品標準成分表2015年版(七訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm

  
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