ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2019年12月19日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

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(sefa ozel / iStock / Getty Images Plus )

ハロウィンやクリスマスがあっても、日本人にとって最大のイベントは、昔も今も「お正月」。家族が集い、無事に新しい年を迎える喜びを分かち合う。それは1年で最も「飲み食い」が盛んになるときでもある。そこで、気になるのが体重管理。体脂肪の増加は健康にどのくらい影響を与えるのだろうか?

体脂肪の役割は「エネルギー貯蔵」「身体の保護」

骨・筋肉・血液等々、私たちの体組織は健康状態や寿命と深く関わっている。体脂肪もその1つだ。一般的に、健康的に好ましい体脂肪率は、男性は10%~19%、女性は20~29%程度(この数値はBMI【※1】とは違うので間違えないように!)。成人女性は、妊娠や出産があるので、自分自身あるいは胎児を守るために男性よりも体脂肪を多く蓄えていると考えられている。

体脂肪はエネルギー貯蔵という重要な機能を果たしているだけではなく、身体を保護するという役割も担っている。近年では、生活習慣病を誘発する肥満の原因であるとして、体脂肪が嫌われる傾向にあるが、「少なければ少ないほどいい」というものではけっしてない。30~40年ほど前までは、多くの日本人が、充分な食べ物を得られないために「必要量の体脂肪」を確保できない不健康な状態にあった。もちろん、そのときの日本人は「長生き」ではなかった。

経済的に豊かになると(日本人だけではなくどこの地域の人であっても)食生活が充実してきて、体重も増えてくる=体脂肪が多くなる。一般的には、それで健康にもなって寿命も長くなる。ただし、往々にして「食生活の充実」は歯止めがきかなくなり、いき過ぎてしまうことがきわめて多い。つまりカロリーの過剰摂取による「肥満=体脂肪の過多」に至る。

体重計の体脂肪率は推計値にすぎない

「自分は体脂肪をどのくらい蓄えてあるのか」を知りたいところだが、体脂肪量を正確に知ることはきわめて難しい(極端にいえば解剖するしかない)。そのため、多くのデータから「推測」することになる。近年「体脂肪率を計測することができる体重計」が開発され、多くの人が利用している。これらの器具のほとんどは、微弱な電流を流すことによって体内の「脂肪以外の量」を推測し、全体からそれを差し引いて脂肪量を算出する、という方法をとっている。

体脂肪を毎日計測していると、日によって体脂肪率がけっこう変わることに気が付くだろう。しかし、体脂肪の量は、毎日そんなに変化するものではない。水分量などが増減するために体脂肪率が変化するようにみえると考えてよい。体脂肪計の「数字の増減」に一喜一憂することはない。体脂肪率は1週間に1度くらい計測し、大きな流れで捉えるほうがいい。

もし体重計にBMIの数値が表示されるのであれば、健康のためにはそちらに留意することをすすめる。そもそも、BMIと健康・寿命との相関関係を示す研究データは世界中に山ほどあるのだが、体脂肪率と健康・寿命との関係を示す研究データはあまり多くない。それは、体脂肪率がなかなか正確に計測できないということによるのだろう。

BMIは身長と体重によってのみ計算されるので比較的単純に算出できる。健康・寿命との関係を重視するのであれば、体脂肪率ではなく体重に注意を払うほうがいい。体脂肪率が結果に強く影響するアスリートや、美容やファッションに関心が高い女性(男性でも)であれば体脂肪率を気にするのは仕方ないだろうが……。

【※1】BMI(Body Mass Index:日本語で体格指数)は世界的に使われている「肥満の指標」。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出する。若い人では22が理想と考えられているが、中高年以降では23~25程度が健康で長生きするといわれている。

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