食品中の脂肪がそのまま体脂肪になるわけではない
体脂肪量の(体脂肪率も)増減は食事と深く関係する。しかし、ここで1つ確認しておかなくてはならないことがある。それは「食事中の脂肪量と体脂肪量とは直接関係しているのではない」ということ。つまり、油脂【※2】をたくさん含んだ食品を食べることが、直接、体脂肪量を増やすことにつながるわけではない。
カロリーのある栄養成分――タンパク質・糖質・脂質の3つ――を含む食品をたくさん食べて、その合計摂取カロリーよりも、消費カロリーのほうが少ないと、その差が体脂肪として蓄えられる、にすぎない。逆にいえば、体脂肪を減らそうとして油脂食品だけを減らしても(糖質やタンパク質を含む食品をたくさん食べれば)効果はない。
体脂肪は大きく分けると2種類ある。皮下脂肪と内臓脂肪だ。皮膚のすぐ下にあり、身体全体を覆っているのが皮下脂肪。これに対し、主として下腹部の内部にあり、腸などの周辺についているのが内臓脂肪。外見から、前者を洋ナシ型肥満といい、後者をリンゴ型肥満ともいう。女性は皮下脂肪型が多く、男性は内臓脂肪型が多いとされる。
健康との関係では、内臓脂肪型肥満のほうが、皮下脂肪型肥満よりも生活習慣病との関連が大きいので要注意。内臓脂肪の過剰な人は生活習慣病にかかりやすいので減らすべきである。内臓脂肪が過剰かどうかの基準になるのはBMI。
ときどき勘違いされているようだが、じつは、内臓脂肪のほうが皮下脂肪よりも減らしやすい。つまり、ダイエットをすると先に減るのは内臓脂肪であることが多い。逆に太るときには内臓脂肪から増えていく。内臓脂肪は「増えやすく減りやすい脂肪」なのだ。よく、体脂肪は預金にたとえられるが、それでいくと「内臓脂肪は普通預金で、皮下脂肪は定期預金」というイメージになろうか。
つまるところ、体脂肪率は数値で見せられると非常に気になるが、健康や寿命との関係では、深い関連示すデータは少ないので、それほど気にする必要はなかろう。健康のために留意するのは、体脂肪量や体脂肪率よりも、エビデンスの揃っているBMIのほうだといえる。
【※2】脂肪はその形態から「油」と「脂」に分けられる。常温(摂氏20~25度)で液体状の脂肪を「油」といい、常温で固体状の脂肪を「脂」という。両方を総称して油脂という。「油」の代表が植物油であり、「脂」の代表が豚の脂身など。
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