高まるキャンセルリスク
乗客の多くが中高齢者ということもあって、健康面のリスクを重視せざるを得ない。このため、感染が拡大している今の状況では、ツアーを申し込んだがキャンセルせざるを得ないと判断する人も当然出てくる。郵船クルーズはキャンセルが出ているのは認めるが、人数については公表できないという。
「飛鳥Ⅱ」は、103日という長期間クルーズで料金も高いということから150日前からキャンセル料が発生する。短期間のクルーズの場合はキャンセルに関して、90日ルールというのがある。出発日の90日前までのキャンセルならばキャンセル料は要らないが、これを過ぎると発生する。4月3日出発の世界一周ツアーの場合、いまキャンセルすると50日を切っているので当然キャンセル料をとられる。出港直前になればなるほど多く取られる計算だ。ただし、クルーズツアーの場合は高額になるため、かなりの利用者がクルーズ船保険に入っているそうで、その場合はキャンセル料金の一定部分が戻って来る。
10日前までキャンセル料なし
こうした中、3年ほど前から超大型のクルーズ船一隻丸ごとチャーターして、それまでのクルーズ料金より低価格で多くの利用者を乗船させるチャ-タークルーズを始めたのが、家電製品のテレビショッピングで知られている「ジャパネットたかた」(長崎県佐世保市)だ。
今年も4月19日から6月12日までの間に10日間のクルーズを5回、10月から11月に3回の合計8回を予定している。ルートは、乗客約5800人が乗れる超大型のクルーズ船「MSCベリッシマ」を貸し切りにして、横浜―高知―鹿児島―済州島(韓国)―秋田―函館―横浜を回る。このツアーに関して「ジャパネット」は、4月から6月の5回のツアーは、「最新状況を判断してツアーに参加するかどうかを決めていただきたいので」との理由で、10日前まではキャンセル料をとらないと発表している。
同社のクルーズパンフレットには、出発前から59日~20日前まではキャンセル料金の比率は代金の30%、28日から15日前は70%、14日前からは100%となっている。4月19日の出発予定の人が、仮に2月22日の時点でキャンセルしたら、通常なら事前に支払った代金のうち70%しか戻ってこない計算になる。それが今回は10日前までの4月9日まではキャンセル料は発生しない。どうしてこういうことができるのか、旅行代理店に聞いてみると、「ジャパネット」の場合、全船チャーター契約なので、運航している船会社と直接契約しているので、こうした思い切ったことができるのではないかとみている。