サムライ弁護士の一刀両断

2020年3月6日

»著者プロフィール

16年ぶりの「緊急停止命令」申立て

 今回、公正取引委員会は楽天の「送料無料サービス」が優越的地位の濫用にあたるとして緊急停止命令を申立てました。

 独占禁止法が制定されて以来、公正取引委員会が緊急停止命令を申立てたのは今回のものを含めて8例しかありません。

また、前回申立てられたのが2004年6月と、実に16年近くの期間が空いてますので、非常に珍しい手続と言えます(さらにその前は1975年3月と、さらに期間が空いています)。

 緊急停止命令とはどのような手続なのでしょうか。また、なぜ公正取引委員会は緊急停止命令の申立てに踏み切ったのでしょうか。

排除命令では間に合わない場合の手続き

 独占禁止法違反があった場合、公正取引委員会は違反者に対し、違反行為の取りやめや再発防止体制の整備などを命じる「排除措置命令」を出すことができます。

 一般的には、独占禁止法違反に対しては排除措置命令と課徴金の納付命令による対応がなされます。

 これに対して緊急停止命令は、緊急の必要がある場合に、違反行為を一時的に(通常は排除措置命令があるまでの間)停止することを裁判所が命じる手続です。

 公正取引委員会が排除措置命令を出すには、違反者に通知したうえで意見を述べさせるなどの手続を取る必要があり、半年から1年程度の時間を要すると言われています。

 緊急停止命令は、そのような手続を取っていては間に合わないような場合に公正取引員会が裁判所に申立てる手続です。緊急停止命令が申し立てられた場合、比較的簡易な審理によって平均1か月程度で裁判所による判断が下されます。

出展社の不利益拡大に配慮

 実は、排除措置命令はこれまでの法改正により以前よりもスピーディに手続を取ることができるようになっており、緊急停止命令の必要性は以前よりも少なくなっていると言われていました。

 それでも今回、公正取引委員会が緊急停止命令の申立てに踏み切ったのは、楽天側があくまで予定通りサービスを実施するという姿勢を崩さなかったため、排除措置命令を待つことで出店者の不利益が拡大すると判断したものと思われます。

関連記事

新着記事

»もっと見る