サムライ弁護士の一刀両断

2019年12月27日

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 近年、GAFA(Google Apple Facebook Amazon)に代表される、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業が台頭しており、2018年時点の全世界の企業時価総額の上位10社のうち、6社がプラットフォーマーで占められています。

 一般的に、プラットフォーマーはサービスの提供と引き換えに消費者を中心とするユーザから個人情報を取得してサービスに活用するビジネスモデルを取っています。

 このようなプラットフォーマーによる個人情報の取得・利用についてはルールづくりが全世界的な課題です。EUが一般データ保護規則(GDPR)を策定し、EU関連の取引で個人情報の厳格な取り扱いが求められるようになったのは記憶に新しいところでしょう。

 わが国でも、本年(2019年)12月17日、公正取引委員会が独占禁止法の解釈基準を示し、プラットフォーマーによる個人情報の取得・利用に、独占禁止法が適用されることを公表しました。

 独占禁止法はこれまで主に事業者間の取引を規律する法律として運用されてきました。これに対して今回、公正取引委員会はプラットフォーマーが一般の消費者から個人情報を取得することについて、独占禁止法の問題となりうるという考え方を示しています。

 公正取引委員会がこのような解釈基準を示した背景はどこにあるのでしょうか。

(marchmeena29/gettyimages)

個人情報を「対価」として支払うビジネスモデル

 今や、日常生活に不可欠な存在となったインターネットのサービスの中には、マーケットプレイスやアプリストア、SNSなどのように、異なる階層のユーザをつなぎ合わせる「場」を提供するものがあります。

 例えば、マーケットプレイスやアプリストアは、売主(販売者)と買主(消費者)という異なる階層のユーザをインターネット上でつなぎ合わせ、商品を取引させる「場」(プラットフォーム)を提供するサービスです。そして、このような「場」を提供する事業者を「プラットフォーマー」といいます。

 プラットフォーマーはサービスを提供する中で、消費者を中心とするユーザが行った購入、検索、投稿などの履歴をデータとして収集・分析し、いわゆるビッグデータなどの形でサービスに活用しています。

 ネットでの検索や、SNSの投稿に関連した商品の広告が頻繁に掲載されるようになった覚えがある方も多いでしょう。ユーザは多かれ少なかれ、プラットフォームを利用する中で知らず知らずのうちに個人情報を提供しています。

 プラットフォームのほとんどは消費者側のユーザが無料で使用できるようになっていますが、実は、使用料の代わりに個人情報を対価としてサービスを利用しているのが実態です。

 ユーザの個人情報が活用されることでサービスの利便性に繋がることも確かですが、ユーザとしては自分の個人情報がどのように利用されているのか分かりにくいという不安があります。実際に、収集された個人情報が流出し騒動になることもたびたび起こっています。

公正取引委員会による「独占禁止法上の考え方」

 このような中で、公正取引委員会はこの度、「デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」を公表しました。

 これによると、プラットフォーマーが消費者であるユーザの個人情報を不当に取得したり利用したりすることが、一定の場合、独占禁止法の「優越的地位の濫用」にあたり、違法とみなされるとされています。

 大前提として、公正取引委員会による「考え方」は、プラットフォーマーがユーザから個人情報を取得したり、ビッグデータのような形で利用したりすることそれ自体を禁止するものではありません。むしろ、そのようなデータ活用が事業者や消費者の利便性に繋がるという前提に立つものです。

 プラットフォーマーによる個人情報の活用が独占禁止法の問題になるのは、優越的地位の濫用の場合、すなわち(1)「自己の取引上の地位が相手方(消費者)に優越していることを利用して」、(2)「正常な商慣習に照らして不当に」個人情報を取得・利用する場合です。

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