2024年3月4日(月)

サムライ弁護士の一刀両断

2019年12月27日

個人情報保護法だけでは不十分な現状

 今回の「考え方」で、公正取引委員会が、独占禁止法違反となる可能性があるとして挙げた例は、実は、これまでも個人情報保護法の違反にあたる可能性が高いものです。

 今回、公正取引委員会はこれまで、主に事業者間取引に適用してきた独占禁止法を、対消費者の取引に当てはめる考え方を示しました。このように独占禁止法によるルール作りが必要とされた理由には、従来の個人保護法の枠組みでは対応しきれない問題が起こってきたことが挙げられます。

 個人情報保護法は、企業などが利用目的を定めず個人情報を取得したり、利用目的以外に利用したり、あるいは本人に無断で第三者に個人情報を提供したりすることなどを禁止しています。

 もっとも、本人が個人情報の取得・利用や提供について同意している場合には、個人情報保護法の問題にはなりません。

 これに対して、プラットフォーマーは通常、個人情報の取得・利用について利用規約に明記した上で、ユーザに同意させています。この場合、ユーザが同意している以上、個人情報保護法違反の問題は起こりにくいといえます。

 これに対してユーザとしてはサービスを使い続ける必要がある以上、個人情報の取り扱いが多少不利であっても同意せざるを得ないのが実際のところでしょう。また、巨大IT企業による寡占化が進むと、ユーザの選択肢が狭まり、「利用をやめたくてもやめられない」場面が増えてきます。

 このように、プラットフォーマーが「サービスの利用を盾にして個人情報の不利な取り扱いに同意させる」といった対応に出ることを防止するためには、個人情報保護法だけでは不十分であり、独占禁止法の観点からの規制が必要になってきたと考えられます。

利便性とユーザ保護の両面を見据えたルール作りが必要

 巨大プラットフォーマーの出現は、社会のあり方を大きく変えてきており、従来の法規制の枠組みでは対処しきれない問題も起こってきています。

 このような状況を受け、独占禁止法以外にも個人情報保護法の分野でも法改正が予定されていますし、プラットフォーム上の取引の透明化を図ることを目的とした新法(デジタル・プラットフォーマー取引透明化法)が2020年度の国会提出に向けて準備中です。

 他方で、プラットフォーマーのサービスは既に日常生活に不可欠です。ビジネスの世界でも、マーケットプレイスやアプリストアは小規模の事業者がインターネットを通じて幅広い顧客層に商品を販売することを可能にしていますし、クラウドファンディングのようなインターネットを活用したマイクロファイナンスはますます需要を増してゆくでしょう。

 必要以上の規制により、プラットフォーム・サービスの利便性を損なうことになるのは本末転倒です。利便性とユーザ保護の両面を見据えたルール作りが重要になってくると思われます。

  
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