サムライ弁護士の一刀両断

2020年3月6日

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デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案

 今回、公正取引委員会が緊急停止命令の申立てに踏み切った背景には、昨今のプラットフォーマーに対する一連の取り組みも影響しているようにも思えます。

 前回「GAFAはどうなる?独占禁止法適用、巨大IT企業の個人情報利用」にも触れたとおり、昨今、デジタル・プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業の台頭に対して、その利便性と寡占化の弊害の両方を見据えた取り組みが検討されています。

 現在、前回解説した個人情報保護に向けた取り組み以外にも、大規模なオンラインモールやアプリストアなどに対して、ユーザに向けた情報開示や運営の公正の確保などを内容とする「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」の策定に向けた準備が進められています。

 例えば、今回のような取引条件変更の問題に関連しては、プラットフォーム事業者が「事業の運営に重大な支障が生じる一方的な不利益変更」を行うことを、法律上、違法とすることなどが検討されています。

 現時点ではどのような行為が規制の対象となるのか、また、違法とされる行為に及んだ場合の手続のあり方やペナルティの詳細は明らかではないものの、可能性として、より迅速に違法行為を排除するための手続や体制が整備されることも考えられるでしょう。

緊急停止命令は手続整備に向けた試金石となるか

 今回の楽天に向けた緊急停止命令の申立ては、プラットフォーマーの取引の公正やユーザ・事業者の保護に向けた法的な枠組みが検討されている最中になされたものです。

 緊急停止命令の申立てを受けた裁判所がどのような判断を下すのか、仮に裁判所による緊急停止命令が下されたとして楽天側がどのような対応に出るのか、はたまた世論がどのように受け止めるのかは、プラットフォーマー取引についての法的な枠組みや、手続・体制の整備に向けた試金石になるのではないかと感じています。

  
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