サムライ弁護士の一刀両断

2020年3月6日

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楽天の三木谷氏(ZUMA Press/AFLO)

楽天に対する「緊急停止命令」の申立て

 公正取引委員会は2月28日、楽天に対し、「楽天市場」で3月18日から開始を予定している送料無料サービス(「共通の送料込みライン施策」)について、「公正取引委員会の排除措置命令があるまで実施してはならない」という決定を求める緊急停止命令を東京地裁に申し立てました。

 楽天による送料無料サービスは、2019年8月に発表されて以来、少なからぬ出店者らの反発を受け、一部の出店者からは「独占禁止法に違反する」という意見も提出されていました。

 こうした中で公正取引委員会は調査を開始し、本年2月には立ち入り調査も実施されています。楽天側はこうした動きに対し、サービス内容を一部修正するなどしながらも、あくまで3月18日のサービス実施の予定自体は変更しないという姿勢に出ていたところ、公正取引委員会が緊急停止命令の申立てを行ったものです。

出店者に負担を求める「送料無料」サービス

 まず、楽天の送料無料サービスは何が問題とされたのでしょうか。

 楽天市場のようなオンラインモールは、運営会社自身が商品を販売するのではなく、小売業者を中心とする出店者がオンラインモールというプラットフォームを使ってネットユーザに対して商品を販売しています。

 商品を販売する際の支払方法、商品の配達、返品などの条件の多くはモール側が定める利用規約などで一律に決められており、出店者側は自由に決めることができません。

 そしてモール側がこうした利用規約を改訂した場合、出店者側もそれに従う必要があります。

 今回、楽天が予定しているサービスは、ユーザが合計3,980円以上の商品を注文した場合の送料を一律に無料とするというものです。

 ユーザにとっては有難いサービスですが、これらの送料は出店者が負担することになるため、出店者にとっては販売コストが増えることになります。また、出店者としては楽天市場に出店する以上、この取り扱いに従う必要があります。

優越的地位濫用にあたる可能性

 出店者としては、このように取引条件が不利に変更されたからといって、モールに出店して既に営業している以上、簡単に退店するわけにもいきません。顧客を失うリスクや他のモールへの移転コストを考えると、しぶしぶ「送料無料」に応じざるを得ない出店者も多いはずです。

 このように大手のオンラインモールは出店者に対して取引上優位な立場(「優越的地位」)にあるといえますが、このような立場を背景にして、相手に不利益になる形で取引条件を一方的に変更したりすることは、独占禁止法の「優越的地位の濫用」にあたるとして違法とみなされる可能性があります。

 今回、公正取引委員会が問題視したのは、楽天の送料無料サービスが、出店者に対する優越的地位の濫用になっているのではないかという点です。

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