使えない上司・使えない部下

2020年3月11日

»著者プロフィール

「働き方改革の中での部下の成長支援」

小山邦彦さん

 最近は働き方改革の影響で、特に残業の削減によって仕事がしたくてもできない人が増えてきました。管理職は部下をできるだけ早く帰そうとしていますが、部下の残った仕事を管理職が巻き取っていることが多いのです。管理職といっても、実際は8割以上はプレイヤーであることが多いと思います。以前から少なくなっていた部下の成長支援など、マネージャーとして本来、割くべき時間がさらに減るという問題が生じてきました。

 部下の行動や実績の把握が一層に困難になったため、従来のような半期(半年)ごとの業績評価制度や面談が有名無実化し始めました。その課題解決に加え、俊敏に環境に適応して効果的に組織の目標を達成しようと、「ワン・オン・ワンミーティング」を実施する企業が増えてきました。背景には、半期単位の評価制度では冗長過ぎて時代の変化についていけないなどの理由があります。限られた時間の中で、部下の職務遂行の度合いを短時間・高頻度でフィードバックすることが求められているのです。

 これは企業経営の視点からも望ましいし、上司と部下が頻繁に話し合う場ができたことはよいのだと思います。しかし、残念ながら、効果があまり上がっていないケースが多いようです。面談をすることだけが先行し、上司が部下を単に「詰める」だけの場になっているケースがあるのです。

 「ワン・オン・ワン・ミーティング」をするならば、「本気の傾聴」「心からの承認」「成長を促す質問」の3つのスキルは心得てほしいと思います。これらを踏まえることなく、流行に乗るかのように安易に実施すると、かえって組織を劣化させる副作用が生じる可能性があるのです。

 「ワン・オン・ワン・ミーティング」の品質は、上司の力量によって大きな差が出ます。今後はそのばらつきをなくし、上司の器量の底上げを図ることが必要になるでしょう。そのためにまずは、上司が部下から信頼されるところから始めないといけないと思います。前述のレッテルの話と同様ですが、自分が信頼していない人の言うことは聞かないものです。

 上司と部下との関係についての根本を学びたい方は、己と人を活かすための学問である儒学、例えば「論語」や「陽明学」などの古典から修得されることをお勧めします。(前述の)「すべての人は、程度の違いはあれ、仕事に対してやる気を持っていることを痛感した」は、ここに原点があります。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る