Wedge REPORT

2020年3月20日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

6月以降は従来型の赤字リストラも増加する

Q 中国に依存していたサプライチェーン(部品の供給・調達網)が寸断られたことで、製造業だけでなく、サービス業へのダメージが大きかったのはなぜか。

 製造業だけでなく、住宅、建築資材など生活関連物資の多くを中国に依存していたため、サプライチェーンが崩れたため納品が遅れる事態が多発している。建築資材が中国から届かないため、マンションや家が建てられないといった事態が起きている。アパレルも中国依存が大きいため、影響が出ているようだ。

 今回の新型コロナの感染は全世界で起きているので、手の打ちようがない。地震などに備えるためのBCP(事業継続計画)を作っていても役に立たない。できることと言えば、生産の一部を国内に戻すしかない。人手にかかる作業を海外から人件費の高い国内には戻せないが、機械化でできるような仕事は海外から一部国内に戻すきっかけになるかもしれない。電機業界では一部でこうした動きが既に起きている。

Q 倒産はしないまでも、希望退職を募集するなど黒字リストラを行う企業が増えているようだが。

 上場企業はこの数年、為替差益で決算の底上げをしてきたが、今後は円安は見込みにくいため、差益を計上するのは難しくなる。昨年は36社、1万1351人が希望・早期退職した。今年の2月末までに希望・早期退職者を募集した19社、3471人の業績は、6社が最終赤字で、残る13社が黒字だった。

 今年は、百貨店やコンビニ、食料品などのBtoCで黒字の業界大手の実施も目立つ。しかし、新型コロナによるインバウンド減少、グローバル市況の悪化で、サービス、アパレル、小売、消費財などを中心に、年初から業績の下方修正も増えている。このため、今年は年齢構成の是正やAI化などの構造改革を進める黒字リストラに加え、6月以降は従来型の赤字リストラも増加する可能性が高まっている。

Q 中小企業の休廃業も増えている中での、今回の新型コロナの影響は。

 倒産よりも現実味が高いのが、休廃業の増加だ。人手不足と高齢化が経営の重荷になっている中小企業の経営者は、お金を借りてまで事業を続けるよりも、「コロナ」を契機に事業をたたもうとするかもしれず、どうしようかと悩んでいる経営者の背中を押して休廃業に追い込む可能性がある。そうなると、最悪のケースは、今年の倒産件数は1万件に増加し、休廃業が昨年4万3000件だったのが5万件にまで増えるかもしれない。そうならないようにするために、政府の思い切った中小企業支援対策が必要だ。

  
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