Wedge REPORT

2020年3月20日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 新型コロナウイルスの感染拡大でヒトとモノの動きが止まり、「コロナ不況」の長期化が心配される中で、東京商工リサーチの友田信男・常務取締役情報本部長に2008年に起きたリーマン・ショックとの違い、今後の倒産件数の行方などについて聞いた。

(Ca-ssis/gettyimages)

Q 今回の新型コロナウイルスとリーマン・ショックと比べた場合、違いは何か。

友田本部長 リーマンは金融セクターから始まり、ほぼ同時に大企業、グローバルに拡大して、そのあとタイムラグがあって中小企業に影響が広がった。「上」から「下」に向かう流れだった。今回の「コロナ」は、旅館、飲食、小売などインバウンドといった「川下」部門から、全国に一気に広がって、大企業にも影響を及ぶ形で、リーマンとはまったく異なる展開となっている。

Q 企業は新型コロナウイルスの影響をどうみているのか。

A 3月13日の正午までに東京商工リサーチの調査で情報開示した525社のうち、新型コロナウイルスの影響に触れた企業は335社で、このうち115社が売上高や利益の減少など業績などへのマイナス要因を挙げた。業績予想の修正分のマイナスを合算すると、売上高が5172億円、最終利益が1232億円。

 売上高の修正額の最大は旅行大手のエイチ・アイ・エスだった。しかし、企業は感染拡大の終息が見えないことから、この影響について見通しが立たないため、売上や業績の見通しが出せないところが多く、悪い状況はまだ表に出てきてなく水面下に隠れている。これが出てくるのは4月からで、今の状況では断定はできない。

Q 企業の倒産件数はこの数年、減少傾向にあった。「コロナ不況」で倒産件数はどのくらい増えそうか。

 リーマン・ョックの起きた08年は1万5646件、翌年の09年は1万5480件と1万件を大きく超えていた。その後、13年の1万855件以降は1万件を下回り減り続けてきたが、19年は8383件で11年ぶりに増加した。増えた理由は、個人消費の低迷と消費税の増税が影響したが、09年に制定された中小企業を対象とした金融円滑化法が実質的に昨年3月に終了したことも響いている。

 今後の倒産については、いつの時点で終息宣言が出るかによるが、一つは消費者の財布のひもが緩む5月のゴールデンウィークまでに終息宣言が出ているかどうか、その次は東京オリンピックが開催される前の6、7月が注目点となる。いまのままで行けば3月、4月に倒産が急増することはないが、年間では1万件を超える可能性が高い。

Q 発表されている政府の支援策は効果があると思えるか。

 リーマンの時は政府が即座に30兆円の信用保証枠を設定し、金融円滑化法も制定して中小企業の金融支援策を打ったが、今回は1兆6000億円の中小企業向け対策を発表しているが、リーマンと比べて鈍い。前回同様の30兆円規模の支援策を打ち出してくれれば、企業経営者も安心感を持ち、企業マインドも回復するのではないか。対策は早く打たないと経営者は疲れてしまい、効果が薄れてしまう。

Q 増税した消費税を減税する案が浮上しているが、効果があると思うか。

 GDP(国民総生産)の6割が個人消費なので、消費税率を5%かゼロにまで戻せば、落ち込んでいる個人消費を喚起させる効果はあると思う。しかし、消費税を変更すると、商店の現場はレジのソフトを修正しなければならないなど、その対応が大変になると思う。

関連記事

新着記事

»もっと見る