2025年3月15日(土)

田部康喜のTV読本

2025年3月14日

 NHKスペシャル『約束はどこへ 原発事故14年 さまよう除染土』(3月11日)は、東日本大震災から14年を迎えて、福島第1原子力発電所(1F)のメルトダウンによる除染土の問題を追ったドキュメンタリーの力作である。

積み上げられた除染土(NHKホームページより)

 NHKは公共放送の責務として、「東日本大震災アーカイブス」を公開した。大震災が発生した2011年3月11日から被災地域のNHK各放送局から送られてきた、映像やニュースを時系列にまとめたサイトは、忘れてはいけない震災を記録として刻み付けている。今回の番組とならんで、14回目の東日本大震災忌を迎えた震災地でいまだに苦闘している人々のみならず、列島に住む人々が震災の記憶を薄れないようにする、よすがとなる。

 『約束はどこへ』を取り上げる前に、「東日本大震災アーカイブス」についてもう少し紹介したい。2011年から21年にかけての10年間の被災地の現状を月ごとに検索することが可能である。また、被災状況と被災者の証言、被災地上空からの映像などもまとまっている。

 このサイトの白眉は震災から10年となる21年に放送した映像記録「東日本大震災 発生からの3日間」である。英語版もある。東日本の沿岸南北650㎞にわたって、犠牲者は1万8000人を超えた。

 世界で初めて、津波が住宅街を飲み込んでいく様子を撮影した仙台平野の上空からの映像、大地震発生後の翌日の福島第1原子力発電所の1号基の爆発音と発煙が上がる様子、避難する住民は8万人以上に及んだ。今も2万6000人がなお避難している。


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