2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2020年3月28日

苦戦する競輪

 一方で、「苦戦」を強いられているのが競輪だ。2月27日から無観客で開催されているが、3月15日までの売上で約4割減。競馬や競艇(約2割減、日本モーターボート競走会)よりもインパクトが大きい。 

 競輪とオートレースを統括するJKAの担当者は「現時点の数字からの推測だが、ネット投票へのシフトが他の公営競技より遅れたことが理由の1つであることは否めない」と語る。競輪でも、競艇と同じようにネット投票のシステムを構築していった。ただ、特にネット投票比率の高い夜間開催への対応や、PR面でスピード感が足りなかった部分はあるという。

 競輪における直近2月までのデータでは、現金とネット投票の売上比率はほぼ同じ。無観客開催を機にネット投票の拡大も期待されるが、まだ現金で購入するファン層が多いため、ネット投票に集中して投資することも難しいようだ。比較的ファン層の広い競馬や、対象数が6艇と比較的的中しやすい競艇と異なり競輪は敷居が高く、新規ファンの獲得が難しいこともあるかもしれない。

 しかし、コロナウイルスによる影響の先行きは不透明だ。いまは健闘している競馬とて、ネット投票にいつまでお金が回るかはわからない。世界では英国、フランスなど競馬開催そのものを中止するケースが相次ぐ。特にこの時期関心の高い、アラブ首長国連邦(UAE)で開催される「ドバイワールドカップ」も中止となった。

 JRAも対応に追われる。ドバイワールドカップに参加予定のためUAE入りしていた、JRA所属のトップジョッキー、クリストフ・ルメール騎手らに帰国後2週間の自宅待機を要請。これにより、ルメール騎手は高松宮記念をはじめ、しばらくレースに騎乗できなくなった。担当者によると、「関係者に感染者が出たらすぐに開催中止というわけではなく、その時の状況に応じ検討する」という。

 高知競馬の担当者も、「ネット投票だけだと、競馬の魅力を知らない新たな層を取り込むことが難しい。やはり実際に生のレースを見てもらい、ファンになってもらうことが一番大事」と今後に対しての不安を語った。これまでの「投資」が今回のコロナショックをいつまで食いとどめられるか、関係者は先行きを案じている。

  
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