「空いている部屋があるよ」
6月21日、悪夢の一夜が明け再びサヴァ川沿いに南下。牧歌的田園風景に心が和む。午後4時過ぎKrska Vasという小さな村落に入ると製材所があった。
ご主人は、英語はダメだがドイツ語は話せるという。ちなみに中欧の中高年世代は東西冷戦時代に学校教育を受けているが、外国語はドイツ語を選択した人が多い。ソ連嫌いからロシア語を避けたようだ。
ご主人は大学生の息子を呼んで英語を通訳させた。「古い部屋がある。そこで寝たらどうか」と望外のオファー。
EU経済圏とスロベニア林業の現実
シャワーを浴びて一息入れているとお茶に招待してくれた。一家は代々林業を生業としてきた。スロベニアは森林が多く伝統的に林業が盛んで、木造建築が多い。
しかしEUの拡大により近年では安価なボスニア・ヘルツェゴヴィナの一般木材が大量に輸入されてスロベニアの林業は太刀打ちできない。スロベニアの林業は高級木材をオーストリアへ輸出することでやっと活路を見出している。
林業は先行き明るくないので大学生の息子は電子工学を専攻しているという。EU経済圏拡大はスロベニアの片田舎の生活にも大きな影響を及ぼしているようだ。
次回に続く
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。