2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月29日

 米ロの力関係は冷戦時代とは様変わりで、米国の方が圧倒的に強いので、多少のアメをロシアに与えても問題はありませんが、ロシアには身の程をわきまえさせることが、欧州やアジアで過大な要求をさせないようにするために必要であり、それが欧州やアジアでの安全保障の強化にもつながります。

 ロシア人は、強硬な交渉姿勢を見せますが、力関係を判断し、妥協する時には妥協する現実主義者でもあります。交渉当初の強硬姿勢に振り回されると、ロシアの思うつぼにはまるので、対応には慎重な情勢判断が必要です。ただ、そうした駆け引きでは、米国よりロシアの方が上のようです。

 なお、ロシアには新START条約を反古にして軍備競争をする力はありません。新START条約は対米パリティの維持という点で、実際はロシアに有利であり、欧州MDについても、ロシアの脅しは効かないと判らせた後、本当の話し合いが出来るようになるでしょう。

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