拡大するオンラインでの生鮮食品消費
今後はネットで育った世代が高齢化していく。ネットのない生活は考えられないだろうし、リモートワークを経験した企業は、リモートワークを積極的に導入するかもしれない。
主婦ならば買い物に割いていた時間を子育てにあてたり、ライフスタイルの変化は消費行動も変えいくのは間違いない。
「今回の新型コロナの感染拡大で局面が変わった」と話すのはポータルサイト大手のヤフーを傘下に持つZホールディングスの川邊健太郎社長だ。
つまり、この発言はEC(電子商取引)が消費者の身近に来て、ECを活用した購買行動が加速度的に増えていくとみていると解釈していいだろう。
興味深い予測がある。米国の食品マーケティング協会と調査会社ニールセンが行った調査で、2025年には米国の生鮮食品のオンラインによる売上高は生鮮食品全体の約2割にあたる1000億㌦(11兆円)に拡大するという。
実際、世界最大のスーパー、米ウォルマートはネットで注文して、受け取り拠点につくと、揃えられた商品を自動車まで運んでくれるドライブスルー型のネットスーパー、「カーブサイドピックアップ」を昨年で2700店で、今年末までに3100店に引き上げる計画を発表している。
米の大手スーパーがこのネットスーパーに一斉に参入し、急ピッチで市場を広げている。こうしたビッグウエーブが日本にも到来するのは間違いなさそうだが、今回のコロナ禍でそのタイミングが早まったとみて間違いないだろう。
まだ、日本のネットスーパー市場はそれこそ、参入している大手スーパー各社の売上高を足し上げても5000億円(生協の宅配を除く)まで届いてないと推測される。その意味では巨大な潜在市場ともいえる。
「ネットスーパーは鮮度や品質が確認できない」という声が市場の拡大を妨げていることは否定できないが、しかし今回のコロナ禍で利便性を再認識した消費者が今後市場を広げていくのは確かだろう。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。