フル回転する「プロパガンダマシーン」
第3に記者会見は、プロパガンダマシーンの役割を果たしています。トランプ大統領は13日(現地時間 以下同)の記者会見で、ホワイトハウス職員が作製した4分弱のビデオを上映して、大統領のコロナ対応に批判的な米メディアに反論しました。
そのビデオの中で当初、新型コロナウイルスの危険性を過小評価していた米メディアのコメントを紹介し、感染拡大の原因は彼らのフェイク(偽)ニュースにあるというメッセージを発信しました。続いて、トランプ大統領が決定したコロナ対策を時系列的に整理してスクリーンに映し出しました。
さらに、東部ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(民主党)、西部カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)及び南部フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)などの共和・民主両党の州知事が、連邦政府からの医療物資の提供に対してトランプ大統領に感謝した発言のみを切り取ったビデオを流しました。もちろん、クオモ知事のトランプ批判のコメントは紹介されませんでした。
上映中、トランプ大統領はホワイトハウスの記者団に向かって、「これを見よ」と言わんばかりに、何度も左手でビデオのスクリーンを指さしました。
しかし、トランプ大統領こそ新型コロナウイルスの危険性を軽視していました。2月のテレビ演説では、「暖かくなる4月になれば、(ウイルスは)消えてなくなる」と発言して、楽観的に捉えていました。トランプ氏は同月、南部サウスカロライナ州での支持者を集めた集会で、新型コロナウイルスを「民主党のでっち上げ」と呼びました。これらの事実を打ち消す必要がある訳です。
このビデオは、事実を歪めて国民の目先を変えるプロバガンダマシーンであると言わざるを得ません。