2024年4月19日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年4月18日

「偉大な米経済再生産業グループ」創設の本当の理由

 トランプ大統領は14日経済活動再開のために、新たに経済チームを創設すると発表しました。チームの名前は「偉大な米経済再生産業グループ」で、農業、銀行、建設、防衛及びエネルギーなどの16業種及び宗教の代表から構成されています。

 トランプ大統領は「偉大な米経済再生産業グループ」創設発表の前日(13日)、運輸業と製造業及び宗教の代表がチームに参加し、委員会を作ると明かしました。なぜ、トランプ氏は16業界の中で運輸業と製造業の2業種並びに宗教を取り上げて米経済再生産業グループについて説明したのでしょうか。その理由は明白です。

 運輸業の代表から構成された委員会の設置は、主としてトランプ支持のトラック運転手を意識したのものです。トランプ大統領は16日、ホワイトハウスにトラック運転手を招き、新型コロナウイルス感染のホットスポットにマスクや防護服及び生活用品を運ぶ彼らをヒーローと呼びました。製造業の代表が集まる委員会は、おそらくコロナ感染拡大の影響を受けたトランプ氏の支持基盤である白人労働者の失業問題を扱うでしょう。

 一方、宗教リーダーが参加する委員会の設置は、こちらも支持基盤の一角を成すキリスト教福音派の支持をつなぎ留めるものです。トランプ氏はイエス・キリストの復活を祝うイースター(今年は4月12日)に全米の教会を再開する意向を示していましたが、コロナ感染拡大のため実現しませんでした。トランプ氏は14日の記者会見で、この委員会では教会の再開がテーマになると述べました。

 どの委員会も、「支持基盤ファースト、コロナセカンド」が鮮明に出る委員会になることは確かです。そしてコロナ対応の記者会見は、11月の大統領選挙に向けて、今後ますます「セレモニー」「選挙運動」「プロバガンダマシーン」の3つの色が濃く出るでしょう。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る