ただ、イラン核問題の解決には、以上のほかに、IAEAの言うイランの核開発の軍事的側面の解明が必要です。この解明は何よりもイランの信憑性に関わる問題であり、それがなされなくては、IAEAはイランの核活動は平和的なものだと断定できません。
核開発の軍事的側面のうち、「物理研究センター」の過去の活動は比較的扱いやすいので、まずイランがその真相を明らかにすれば、大きな突破口になるとの論説の指摘は恐らく正しいのでしょう。ただ、イランが「同センター」の過去の活動を明らかにすれば、イランが過去に何らかの形で核兵器関連のR&Dをしていたことを認めることになる可能性が高く、それは自分たちの核計画は専ら平和的なものだとしてきたこれまでの主張と矛盾することになります。従って、イランとして容易には認められないでしょうが、この問題は避けては通れません。論文が言う、イランが今後平和活動に専念することを誓い、IAEAがそれを全面的に検証するのであれば、過去のNPT 違反は問わない、という「寛大な措置」が落とし所になるのかもしれません。
「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。