2024年12月23日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年6月11日

デモが絶えない重慶
経済成長と貧富の差拡大の「矛盾」

 言ってみれば、薄氏の失脚で毛沢東時代の「社会主義政策路線」への回帰を目指す「左派路線」が挫折。そして経済が低迷している状況下で、中央政府も重慶政府もいっせいに「右」の方向へ舵をきり、薄煕来路線と正反対の「資本主義路線」へと走り出したわけである。

 しかしその一方、たとえば薄氏失脚後の重慶市では、今年の4月10日、5月29日、6月6日と続けて大規模な抗議活動やデモ騒動が起きている。このことからも分かるように、以前は薄煕来路線によって代弁されていたような民衆の不満を、いかに吸収していくのかということは、依然として重慶市の地元政府と中央政府にとっての大難題であろう。

 社会的安定を図るためには経済の高い成長率を維持していかなければならないのだが、そのために推進する民営企業家重視の政策は、逆に貧富の格差の拡大に拍車をかけ、民衆の不満のよりいっそうの高まりを招きかねない。今後の中国共産党政権は、一体どうやってこの根本的な矛盾を克服するのだろうか。まさにお手並み拝見である。

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