定年バックパッカー海外放浪記

2020年6月7日

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(2019.7.23~9/2 42日間 総費用20円〈航空券含む〉)

親子三代軍人一家のオモテナシ

軍人一家の皆さんと日本のオジサン

 8月7日、トルンから70キロくらい走ってヴィスラ川に近いMorekという村に到着したのは午後4時前。野営地を探していたら鋭い風貌の筋骨隆々の男性が庭仕事をしていた。恐る恐るキャンプの諾否を尋ねると案に相違して快諾。奥様が出てきて奥の庭に案内してくれた。

 テントを設営して庭のBBQ用のテーブルで村の雑貨屋で仕入れたポテトチップスとビールで一息ついた。奥様が夕食に卵料理と生ハムを差し入れてくれた。そしてマッチョのご主人がビールを持ってきて奥さんと3人で談笑。2人とも片言英語であるが友好親善の熱い気持ちは十分に伝わってきた。

 ご主人はポーランド陸軍の高級将校でフィジカルトレーニングの責任者らしい。どおりでマッチョのはずだ。そして最近78歳で亡くなったご主人の父上も軍人で2人の息子も軍人という親子三代の筋金入りの軍人一家であった。

 ご主人はスマホで英語の達者な次男を呼び出して直ぐに来るように指示した。次男はまもなく金髪美人のガールフレンドと一緒に車で到着。雨が降ってきたので全員でリビングルームのソファに移動。

優雅な軍人一家の生活

 ご主人のトマスは御年50歳、奥様は46歳、長男は27歳、次男は25歳という家族構成。長男は現在ワルシャワで勤務しているらしい。次男のフィアンセのマリカはトルンで歯科助手をしている。

 奥さんも陸軍病院の看護婦をしていたので全員軍人一家であると自慢。さらに奥様は元陸上選手でマラソン大会などのメダルやトロフィーが所狭しにカップボードに飾られていた。

 トマスは釣りが趣味で日本の高級釣り竿『ミカド』がご自慢で愛車のシトロエンのSUVで毎週末出かけるようだ。最近はマウンテンバイクにも凝っており競技会に参加している。

 冬はスキーリゾート、夏はスペインのビーチリゾートでバケーションを楽しんでおり、余暇の過ごし方も中流以上だ。トマスも奥様も社会主義時代より生活水準は飛躍的に向上したと口を揃えた。

現在の幸福を守るためには『強い軍隊と強固な同盟が必要不可欠』

 トマスや次男だけでなく奥様もマリカも“強い軍隊がなければ平和国家は存在しない”と再三強調。それがポーランド国民の共通認識であるという。

 ロシアは歴史的に宿敵であり、現在でもポーランドにとり潜在的脅威。このために米国、ドイツ、フランスなどとNATOを通じた鉄の同盟関係(Iron Alliance)が不可欠と断言した。

 オジサンが目測したところ約200坪の敷地に総床面積約250平米の2階建ての豪邸に住み、年2回のバカンスをエンジョイするトマス一家はヨーロッパの典型的な中流階級と言えるだろう。ポーランドはナチスドイツによる占領、ソ連支配下での社会主義時代を経て民主的国民国家を勝ち取った。

 民主独立国家としてのポーランドを守るという点においては、おそらくポーランド国民全員がトマス一家と同様に熱烈な愛国心を共有しているのであろう。米国により平和と安全が与えられてきた日本人の国防意識との大きな乖離を感じた。

予約していても満員御礼で座れない列車

 8月15日、グダンスク中央駅に列車出発時刻の30分前に到着。目指すプラットフォームまでは改修工事中のためエレベーター、エスカレーターがない。合計30キロとなる荷物を満載した自転車を担いで階段を昇る。屈強のポーランド人の若者の手を借りて長い階段を上がった。

 列車がホームに到着したが車両の乗降口まで乗客が溢れている。予約座席のある車両に自転車を乗せようと焦っていたら駅員が両手でダメとジェスチャー。前方の列車を指さしている。時間がないので自転車を漕いでホームを100メートルほど疾走。

水兵さんと一緒、3時間半立ちっぱなしの列車移動

 先頭車両の乗降口から何とか自転車を積み込むことができた。列車内は通路まで乗客が溢れて人いきれでムンムンしている。乗降口のほうがむしろ風通しがいい。こうしてグダンスクからワルシャワまで乗降口に3時間半立ちっぱなしの列車移動となった。

 ワルシャワまでずっと一緒だったのは26歳のポーランド海軍水兵のソメン君だ。現在グダンスク軍港を母港とする掃海艇に機銃手として勤務。休日を利用してワルシャワの実家に戻るという。

 当日の8月15日(木)というのは聖母昇天祭という祝日で木・金・土・日と四連休にする学校や勤務先が多い。連休初日なので列車が超満員だったのだ。

中世の街並みが残るグダンスク(旧名ダンティヒ)の運河

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