定年バックパッカー海外放浪記

2020年5月24日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2019.7.23~9/2 42日間 総費用20円〈航空券含む〉)

アンビリーバブルな為替レート

クラクフ旧市街を走る観光馬車

 7月24日 クラクフ観光初日。ポーランド王国の全盛期14~16世紀に首都だったクラクフ旧市街は中世の面影を残す美しい街だ。期待に胸を膨らませて9時過ぎに日本から携行した自転車で出発。

 先ずは現地通貨ズローチを入手すべく両替屋を探した。大通りのアーケード街に銀行と両替屋があった。銀行のレートは問題外。両替屋は$100=425ズローチ。その後、バスターミナルや鉄道駅近辺もチェックしたが、380~420ズローチ。空港、バスターミナル、鉄道駅は概して交換レートが悪い。こうして12時過ぎまで3時間も交換レートの市場調査に費やした。

 旧市街の入口のバルバカンという15世紀に築かれた円形の砦から旧市街のメインストリートに進んで両替商の立て看板を見て仰天。

 なんと$100=435ズローチ。近くの数軒の両替屋も同じレートだ。喜び勇んで手前の両替屋に飛び込んだ。

表看板と裏看板で交換レートは雲泥の差

 $100紙幣2枚を窓口の中年男にガラス越しに渡すと、手早く用意していた$100分のズローチ紙幣の束を二つと領収証をガラス窓から筆者に渡した。

 紙幣を数えると800ズローチしかない。即座に435ズローチ×2=870ズローチとなるはずだと指摘した。中年男は無表情で筆者の後ろの壁を指さした。

 そこには【$100交換レート、売り(selling)398.50、買い(buying)435ズローチ】とプレートに表示されていた。

 巧妙な“トリック”だ。メインストリートの【$100=435ズローチ】という看板を見た外国人観光客は$100を出せば435ズローチをもらえると思い込む。

 他方で店内の裏看板は外国人が435ズローチを出せば$100と交換すると表示。逆に外国人が$100を出すなら398.50(端数を切り上げて400ズローチ)を渡すという表示なのだ。

騙し取った金は返さない“ペテン師の口上”

 筆者は即座に中年男に$200を返却するよう依頼した。中年男は「すでにコンピューターに登録したのでシステム上取消ができない」と分かり易い嘘をついた。

 オンラインのシステム運用しているのは大手銀行くらいで、町の両替屋は金銭登録機だ。それにオンラインシステムならばシステム上“キャンセル”操作が可能のはずだ。

 筆者が矛盾点を指摘すると中年男は「自分には取引を取消す権限はない」と論点を変えて逃げた。筆者が追求すると「権限を持っているオーナーが現在どこにいるのか知らない」と白々しい。

 警察に通報すると畳みかけたら、「警察を呼びたいならどうぞご自由に」と居直った。常習犯なのだろう。負けるものかと日本のオジサンは奮起。時刻は12時30分。

民主警察、“民事不介入”の高い壁

 自転車で15分、中央広場に面する警察署に飛び込んだ。当直の担当者に事情を話すと、直ちに巡回中のパトカーに両替屋に急行するように無線で指示。

 13時過ぎにパトカーが両替屋に到着。若い男性警官と30代後半の女性警官の二人組だ。女性警官はまあまあの英語を話したので経緯を説明。それから女性警官は延々と両替屋の中年男とやりとり。

 女性警官は「表の看板はズローチを米ドルに交換する場合の交換レートだと店側は説明している。店側は取引の取り消しを拒否している。警察としては明白な犯罪行為(criminal act)がないのでこれ以上説得できない」

 筆者が「警察の立場は理解する。しかし世界的観光地で外国人をトリックのような看板で騙すのはクラクフの不名誉ではないだろうか。」とやんわりと抗議すると女性警官は警察本部と無線で相談。

 しばらくしてから「旧市街にある消費者センターで相談することを勧める」と住所をくれた。

表看板が入れ替わっていた!

差し替えられた後の表通りの為替レートの看板

 証拠として両替屋の写真を撮って、メインストリートの表看板を見て驚愕した。

 【$100=398.50ズローチ】に変わっており、しかも近隣の両替屋の表看板も同様であった。筆者が警察署に向かっている間に両替屋の中年男が近隣にも知らせて一斉に看板を差し替えたのだ。

 つまり組織ぐるみ、町ぐるみの巧妙な詐欺行為だったのだ! 消費者センターに14時前に飛び込んで、英語を話せる担当者に相談。しかし当該センターはいわゆる商品の品質や数量などのクレームを取り扱う部署であり、金融取引は8キロ離れた新市街の市役所の管轄という。ここまで来たらトコトン追求しようと腹をくくった。

 自転車を駆って市役所に15時過ぎ到着。該当オフィスへ向かうと受理するのはクラコウ市民からの訴えだけという。しかもポーランド語の申請書類提出が必須。

 しかし相談だけなら外国人でも無料で弁護士と相談できると勧めてくれた。相談時間は16時からというのでしばし待機。

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