なお、安保理が報道向けの声明しか出せないようでは、安保理が機能していないのは明らかで、その種たる障害となっているのはロシアです。
ラックマンは、ロシアにシリアでのロシアの安全保障上の利益を保証することで、ロシアを対シリア外交の協力者にする可能性に言及していますが、ロシアの安保理での行動は、常任理事国としての特権の乱用に近いものであり、そうした行動は批判されるべきでしょう。
国際社会の意思と言うことでは、今年2月に国連総会は賛成137カ国、反対12カ国(中、露、イラン、北朝鮮など)、棄権17カ国で、シリア非難決議を採択しており、国際社会の大勢は既に明らかです。
現在の安保理の機能不全を、機会を見てあげつらっておくことは、安保理改組への勢いを維持するために必要であり、今回のシリアのケースはそういう観点から利用価値があるように思われます。
また、欧米や日本などはシリア大使を追放しましたが、対シリア措置は更に強めていくべきでしょう。自国民をこれまで殺した以上、アサド政権には正統性はまったくなく、チェチェンやタミールと同列に論じることはできません。
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