2024年12月9日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月10日

 ニューヨーク・タイムズ4月20日付社説が、アサド政権は、国際社会の度重なる警告にもかかわらず弾圧を止めず、そうしたシリアを中ロが庇っている、米国とその同盟国は、シリアだけでなく、中ロに対する圧力を強化すべきだ、と言っています。

 すなわち、国際社会はアサドを退陣に追い込む方法をまだ見つけることができずにいる。一番良いのは、国連が武器禁輸や厳しい経済制裁を科すことだが、中ロが同調しそうにない。特に、ロシアはシリアに武器を供給し、シリアのタルトゥスの港を使っている。

 要するに、中ロは西側の邪魔をしようとして、無意味な地政学的ゲームを弄でおり、それによって、自らの国際的評判を落としている。

 他方、トルコはシリア境内に避難民保護地域を作ろうとしているが、これは、守るための空中哨戒や、場合によっては地上部隊が必要になる上に、外部からの介入は、戦争を拡大させてしまう危険性がある。

 結局、殺戮をやめさせ、戦争を避けるには、引き続き、シリアと中ロに圧力をかけ続けるしかない、と論じています。

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 相も変わらないニューヨーク・タイムズの建前論です。アサド政権による国内弾圧は止めさせなければならないと言いながら、戦争をする気は全く無く、出来ることは、厳しい経済制裁しかない、しかし中ロがそれに乗って来ない、と言って中ロを批判している社説です。


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