「良い治療を受けられるのは、金と権力(コネ)がある勝ち組だけ」「病院や医師は患者を搾取している」との不満が中国の庶民の間に広がっている。
ただ、客観的にみれば、常に医師、病院側が悪いわけではない。国民の権利意識の高まりもあって、診断や治療、手術に過誤があった、として患者が医師や病院を相手取って損害賠償を起こすケースも多い。
医療トラブルの交渉、解決を商売にする者も現れ、病院に通って「依頼人」探しにいそしんでいるという。最近では「もうけたいなら、手術しな。その後、医者を訴えろ」というざれ歌まであるという。
国防、宇宙より医療に予算を
12年の衛生統計によると、08年の国内総生産(GDP)に占める医療費の割合は中国4.3%、日本8.3%、財政支出に占める政府医療費の割合は中国10.3%、日本17.9%。いずれも日本の方がずっと多い。
中国政府は毎年、国防予算を前年比10%以上増額、また、巨費を投じて、初の空母を開発し、有人宇宙飛行を推進。国威を発揚し、共産党政権への求心力を強めようとしている。だが、国防や宇宙飛行より、医師養成や病院の建設、医療保険の整備にもっと予算を投じるべきだ。国民の命を粗末にする政府が長続きするはずはない。
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