2024年4月20日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2020年7月18日

巷にあふれる間違った勉強法

――使える英語にならないのは、今の英語教育が受験英語になっているのが大きいんでしょうか。

 そうですね。もともと受験で4技能を試験するという方向性が打ち出されていました。これは、現場の教員に4技能の指導を考えるきっかけを与える意味で、良かったと思うんです。ところが、民間試験の共通テストへの導入見送りで延期となってしまい、従来通りの受験英語に戻ってしまったのは残念です。受験英語は受験のための近道となる学び方ですから、受験はこなせても、その先役に立たないのは、はっきりしているので。

 日本人の英語のレベルが低いというのは、ずっと言われ続けてきたことです。加えて、世界の英語ディベート大会に出ると、海外の優秀な高校生と比較して、日本の高校生にものの考え方の面で不足を感じます。あなたはどう思うのと聞かれたときに、なかなか自分で考えてアウトプットすることができない。そういう訓練がされないままの高校生が多いんじゃないかと思っています。

――ご著書の中には、高校生はこうしています、ビジネスマンならこうアレンジできますよという解説もありますね。

 英語をしゃべれるようになりたいとか、なぜしゃべれないんだろういう思いは、どの世代も共通しています。何を何時間やったら、しゃべれるようになるんだとモヤモヤした中で勉強している方は多いんじゃないでしょうか。誤った学習方法で学んでいる人もいるので、ターゲットの幅を広げて書きました。

 例えば、英語をたくさん聞き流せばリスニングができるようになるというメソッドがあります。実際は、ただ聞き流したのでは雑音を流しているのと変わらないので、聞き取れるようにはなりません。スピーキングも、たくさん早く書けるようになればしゃべれるようになるという主張もあって、驚いたことがあります。しゃべれるようになれば、書けるようにもなるということなら、正しいのですが、逆は成り立ちません。

 日本人は中学、高校で6年間も英語を学ぶのに、使い物にならないという議論があります。それに対して、授業時間が少ないから、しゃべれなくて当たり前だという言い訳をする人もいます。それはどうかなと。週3、4時間の授業でちゃんとしゃべるトレーニングをすれば、6年間である程度しゃべれるようになるのに十分だと思うんです。

2017年に3回目の全国優勝を果たし、日本代表としてチェコ・プラハで国際ディベート大会に参加した際の交流会。大会では2チームで5勝をあげた。

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