この質問に対して、東電の副社長は、福島原発の作業にあっている社員や作業員のために東電病院の医師らが派遣されているために、病床の稼働率が低い、と答弁した。
番組では、総会の途中に報道各社のインタビューに応じるため、代々木体育館の外に出てメディアの質問に答える形で、猪瀬は東電の答弁の不合理性をついた。都の調査によると、福島に派遣されている医師は1人で、しかも土曜日だけなので、稼働率が全体として低い理由にはならないと。
猪瀬、反町の質問をやんわりといなす
ゲストの猪瀬に対して、キャスターの反町は、株主提案が否決されたことの意義を聞く。そればかりではなく、株主総会でどうして否決されるのか、出席者の挙手で決まったのか、と質問する。
株主総会の決議が、単位株式の投票によって決するのは、ビジネスマンや株投資をしている主婦には常識であろう。
猪瀬はいう。
「株主総会は、結果なんです。それ以前に、株主質問などを通じて、その企業の問題点と改善を指摘する」と、反町の質問をやんわりといなす。
企業を知らない八木
経済記者として、さらにビジネスマンとして企業のなかに入った筆者として、今回の東電の総会決議事項の白眉は、都が事前に提案した社外取締役候補に、公認会計士の樫谷隆夫が入ったことである。モノ言う社外取締役は、商法上の権限を活用すれば、企業統治のうえで、かなりのことができるのを、筆者は何度も目撃してきた。
他局のニュース・ショーに出演するために、中座する猪瀬と入れ替わるように、社外取締役に就任した樫谷が登場した。取締役会と監査委員会が長引いたので、出演が遅れたことを樫谷はわびた。
キャスターの八木が、取締役会の内容について質問した。猪瀬が即座にさえぎる。「樫谷先生も守秘義務というものがある」
企業というものを八木は知らないだけだ。さらに、原発の再稼働について、東電の方針を樫谷にたずねるシーンもあったが、これも同じ理由である。