文化の違いで感染予防が困難に
前出のホノルル・アドバタイザー電子版記事によると、オアフ島内の太平洋諸島出身者の感染拡大パターンが判明したことから、州政府では現在、これらの移民を対象とした感染拡大防止対策を行っている。しかしハワイ州で大多数を占める他の民族と太平洋諸島出身者の間には文化的慣習や住居事情、言語のバリアがあるほか、保健衛生関係者への不信感などもあり、自主隔離や感染者の接触者追跡が困難だという。
また同紙電子版による12日の報道によると、「コンタクトトレーサー(接触追跡者)はハワイ州には現在州全体で18人(うちオアフ島15人)しかいないため、対応が遅れたことも死者増加の原因となっていると報道した。同記事によると、グリーン副知事は今後コンタクトトレーサーを420人~564人に増やす予定と述べている。
ハワイ州はこれまで全米一低い感染者数と死者数を誇っていたが、生活環境が過密である場合も多いオアフ島では特に、一旦広まると爆発的に拡大する可能性も捨てきれない。経済を元に戻すためには、太平洋諸島出身者に限らず、言語の問題を含め、多数派の住民と文化的な溝ができることも多い移民コミュニティの啓蒙活動や訪問者に対する検査プログラムの実施のほかにも、経済や社会活動を続けながら、人々が極端に規制疲れしないやり方でウイルスとうまく共存していける方法の開発も必要になってくるだろう。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。