WEDGE REPORT

2020年6月23日

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相馬佳

ハワイ在住ライター

新潟市出身。ハワイ大学卒業後、現地の広告代理店にコピーライターとして就職。現在はハワイで編集者として働きながら日本のメディアでもライターとして活動中。

人影まばらのワイキキビーチ(AP/AFLO)

 ハワイ州で今年3月、新型コロナウイルス感染拡大防止のため事実上の外出禁止令、そして渡航者に対する14日間の自主隔離令が発動されてから早くも3カ月近くが経った。これ以前は国内外から毎日約3万人の観光客を迎えていたハワイだが、14日間の自主隔離が義務化されている今は、ハワイに帰ってくる人や移住する人、または長期滞在をする人以外、渡航することは困難である。

 地元紙ホノルル・スターアドバタイザー電子版の報道によると、6月16日のハワイ渡航者数は全体で1671人。うち556人がハワイに戻った住民、190人が航空会社の乗組員、121人がハワイへの移住者、165人が軍関係者、114人が乗り継ぎの中継地として降機した人々で、観光客は445人だった。この数字では80人分の計算が合わないが、中には自主隔離するための宿泊施設の用意がないなどの理由で、そのまま強制的に乗機地に返される場合もある。実際、観光客の中には14日間のうち1回しか使用できないホテルのカードキーを渡されて現実に目覚め、滞在予定をキャンセルしてハワイを後にした家族もいるという。

 記事によると、約8割の観光客は渡航理由としてハワイに住む家族や友人訪問を挙げている。しかし、現在の状況から格安になった航空運賃に惹かれてハワイに渡航したはいいが、自主隔離義務を順守せずに外出して通報されて逮捕された人も多い。

5月末の卒業シーズンで新規感染者が微増

観光客の姿がないダニエル・K・イノウエ国際空港(筆者撮影)

 渡航規制と外出禁止令、外出時のマスク着用令、そしてソーシャルディスタンスの成果か、4月中旬から5月下旬までハワイではほとんど新規感染者が出ていなかった。そのため、4月25日にエクササイズ向けにアラモアナ・ビーチパークなど市営ビーチパークが開放されたのを皮切りに、5月15日にはアラモアナセンターなどのショッピングモールが営業を再開。そして6月5日にはレストランやカフェが店内飲食を再開した。6月16日にはネイバーアイランド間で14日間の自主隔離義務も解除され、州内の経済再開は着実に進んでいる。

 しかし、経済再開と同時に州民の気が緩んだこと、パーティーが多い5月末の卒業シーズンと重なったこともあり、6月上旬から中旬まで、新型コロナウイルスの新規感染者が微増して10人以上になる日が数日間続いた。多くの大家族が一つ屋根の下に住むオアフ島西部で家族間のクラスターが発生したり、老人介護施設で数人のクラスターが発生した例もある。その後また新規感染者数は落ち着き、6月16日には4人、17日は5人だったが、小規模ながらハワイでも人種差別に対する抗議デモが実施されたことからか、18日の感染者数は18人に増加した。

 一方でハワイは現在、渡航者受け入れを再開しなければ経済が停滞、再開すれば州内では新型コロナウイルスが外部から再び持ち込まれかねないというジレンマに陥っている。観光客受け入れを拡大しない限り、ホテルやツアー業者は開店休業状態を余儀なくされる。また日本人観光客に人気の高級ブランド店やお土産店でも現在は閑古鳥が鳴いている状態だ。観光・リテールセクターで不況が続けば失業者が仕事に戻れずに失業保険金の支払いが増え、ビジネスからの税収も減るため、ハワイ州政府の経済危機も続くことになる。

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