暗中模索が続く
ヤクルトの神宮はもっと深刻である。入場者数の上限を1万4500人にして以降、今月13日のDeNA戦で6875人と、今季初めて1万人台を割り込んだ。翌14日は1万2052人と大幅に持ち直したが、これは特製トリコロールボアパーカーのプレゼント企画のおかげで、15日はまた8757人に落ち込んでいる。
中日の本拠地、上限1万1000人のナゴヤドームは神宮以上に客離れが進んでおり、人気カードで今季最後の阪神戦でも今月13日が4187人、15日が5161人。中日はこの3連戦に3連勝して2位に躍進し、15日には今季限りで引退する阪神・藤川球児が名古屋のファンに別れの挨拶も行った。それでも1万人の半分しか客席が埋まらなかったのである。
「やはり、コロナの感染拡大が響いているのでしょう」と、別のセ・リーグ球団関係者はこう分析している。
「とくに関東ではまた感染者数が増えているので、野球を見に行って移ったりしたらかなわない、という心理が働いているようです。スタンドで少々距離を置いて座っていても、大声で声援を送ったり、仲間同士でしゃべったりしているお客さんはたくさんいる。アルコールが入ればなおのこと、マスクを外しっぱなしにしている人も多い。
例えば、東京ドームの巨人戦は、夜行バスの団体ツアーで観戦に来ている他府県のお客さんが多かったんですが、毎日200人前後も感染者が増えている東京に地方から来たがらない人が増えたでしょう。東京からコロナを持って帰るなと、家族にも言われてしまうご時世ですからね。孫を連れて観戦に来ていた高齢者層などもめっきり減っています。
その上、セ・リーグは巨人が首位独走で、CS(クライマックスシリーズ)争いの興味もない。これではわざわざ感染リスクを犯してまで球場に足を運ぶ気にはなれませんよ」
withコロナの時代に、プロ野球はどうあるべきなのか。しばらくはまだ暗中模索の日々が続きそうである。
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